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「赤西蠣太」
(あかにしかきた) 監督:伊丹万作 出演:片岡千恵蔵 1936年
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掲載日2000年08月13日 |
いっぱしの映画ファンを気取るならぜひ観ておきたい、いや絶対に観ておかねばならない古典的名作がこの映画なのだ。 歌舞伎でお馴染みの伊達騒動(東北、伊達藩の家老・原田甲斐がお家乗っ取りをくわだてて、名門伊達百万石が存亡の危機にさらされるという事件)が背景。伊達藩イチの醜男、おまけに口下手で無愛想、何の取り柄もなさそうな赤西蠣太が、身の程知らずにも藩随一の美女と謳われる腰元に恋心を抱く。恋路をまっとうしようとする蠣太は、その行き掛かり上で、お家乗っ取りをたくらむ家老・原田甲斐の陰謀を暴くという話なのだ。 当時、アイドル的人気で売り出していた片岡千恵蔵に醜男・赤西蠣太と、悪役・原田甲斐の二役を演じさせているのが面白い。また、すべての登場人物に魚介類の名前がついているのも楽しく、セリフは少ないのだが絶妙の間と構成で、観ている者を笑いとサスペンスの世界に引き込んでいく。 監督は、先年自殺した伊丹十三の父、伊丹万作。さまざまな理由で、彼の作品はこの映画を含めて3本しか残っていないのが、映画ファンにとってはなんとも残念だ。 昨年の正月映画として公開された「花のお江戸の釣りバカ日誌」は、山田洋次監督が「赤西蠣太」へのオマージュとして脚本を書いた。また、同じ年の正月にテレビ時代劇として市川崑監督が、北大路欣也主演で「赤西蠣太」をリメイクしたのだが、残念ながら伊丹監督版には遠く及ばなかった。半世紀以上経っても色あせないこの面白さ、完成度の高さ、座布団一枚じゃ足りないくらいなのだ。とにかく観るべし、笑うべし!
( 書き下ろし )
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