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コラム

連載快楽亭ブラック
「JOKER 疫病神」 (じょーかー やくびょうがみ)  監督:小松隆志  出演:渡部篤郎  1998年 掲載日2000年09月14日
 映画は、総合芸術と言われ様々な魅力を持っているが、そのひとつに現実社会ではもう見ることができなくなったものが、スクリーンのなかではいつまでも生き続けるということがあると思う。ご存知のとおり、あっしは古きよき時代の日本映画が三度の飯よりも好きなのですが、たとえば、映画のワンシーンで有楽町駅前に日劇が建っているのを見るとたまらなく懐かしくなったりするでしょ。作品のクオリティーは別にして、それだけで座布団をあげたくなるほどなのだ。やっぱり有楽町駅前はマリオンじゃなくて、日劇の方がハマルでしょう。
 というわけで前置きが長くなったけど、今回紹介する「JOKER 疫病神」にもあっしを喜ばせて止まないシーンがある。若かりしころ、落語の稽古をする間も惜しんで?毎日のように通った老舗名画座、東京の池袋文芸坐が写っているのだ。それだけじゃない、ラストのアクション・シーンの舞台として効果的に使われ、その大役を立派に果たしている。
 ストーリーは、仲間からも疫病神と呼ばれ恐れられていた伝説のヤクザ、村越(ショーケンこと萩原健一)が7年の刑期を終えて出所、池袋に帰ってくる。やがて組の若い衆、ヒロシ(渡部篤郎)とともに敵対する組織との抗争、復讐劇に身を投じていくというもの。
で、池袋でのロケシーンが随所に出てくるのだが、ショーケンが出所して初めて訪れた場所が文芸坐だ。ところが文芸坐は閉館していて
“ここがつぶれるようじゃあ、本当の世紀末だな”
とつぶやく。このセリフがいいのよ。
そしてラスト・シーン、ショーケン、渡部篤郎コンビと悪いヤクザたち(まあヤクザはみんな悪いんだけどね)との対決が文芸坐のなかで繰り広げられる。クライマックスの銃撃戦は「マトリックス」などのワイヤー・アクションでハリウッドを席巻した、ジョン・ウー監督の香港時代の作品のようにハードでバイオレンス、かつロマンに満ち溢れている。
渡部篤郎と仲良しの頭の弱いチンピラ役に扮した北村一輝の好演も印象深い。最近のヤクザ映画のなかでは、座布団をさしあげるにふさわしい傑作だ。
( 書き下ろし )

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