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コラム

連載快楽亭ブラック
「刑事物語」 (けいじものがたり)  監督:渡邊祐介  出演:武田鉄矢  1981年 掲載日2000年10月28日
 武田鉄矢の映画を支持すると、映画ファンからバカにされそうだが、本当だから仕方がない。武田がライバル視する北野武の映画には、感心したことはあっても感動したことはない。まあ、彼はシャイだから感動しないように作っているのだろうが(これ、前フリね)。
 そこへいくと武田鉄矢の映画は失敗作もおおいが、感動させてくれる作品もまたおおいのだ。今回紹介放送する「刑事物語」はそんな1本。武田が初めて映画製作に挑んだ記念すべき作品だ。本作を含めた「刑事物語」シリーズ5作では、彼は監督としてでなく企画、脚本、主演として取り組んでいる。本作の脚本を執筆する時には、アイディアがふつふつと湧いてきて京都の旅館の一室で、一晩で書き上げたという。
 「刑事物語」シリーズは、ドジで失敗ばかりしていて日本中の警察をたらい回しにされているが、人情に厚く正義感の強い片山刑事(武田鉄矢)を主人公にする5部作。特筆すべきは本作で、とにかく共演者が素晴らしい。田中邦衛、西田敏行、樹木希林という錚錚たる顔ぶれ。そしてあの高倉健が、倉本聰が脚本を手がけた名作「駅」と同じ三上刑事役で、ラストシーンにちらっと顔を出す映画ファンへのスペシャル・プレゼントまでついている。実は、武田鉄矢の映画デビュー作は健さんが主演した山田洋次監督作品「幸福の黄色いハンカチ」(刑務所から出所してきた健さんを、倍賞千恵子扮する妻が、物干しいっぱいに黄色いハンカチを掲げて迎えるってお話)。海のものとも山のものともつかない武田青年は、大抜擢されたこの映画の撮影現場で山田監督に鍛えられ、健さんに触発されて映画へと傾倒していったのだ。その時、武田は台本にこう感想を記したという。
“山の子が、初めて海を見たような出会いと仕事でした”
う〜ん、なかなか深い。「金八先生」でもそのまんま使えそうだ。詳しくは「24時間まるごと武田鉄矢」の独占インタビューでね。
さて、本作の見どころだが、なんといっても田中邦衛と武田の火花散る演技合戦を挙げたい。ふたりは恋敵の役なのだが、田中邦衛はリハーサルの時から目に涙をいっぱいため、鼻水まで流しての熱演をみせる。対する武田も涙でぐしゃぐしゃ。
とにかく“百聞は一見に如かず”ふたりのハイテンションシーンに注目あれ。あと、武田自身が考案したハンガーヌンチャクも懐かしい。プラスチック製じゃなく、木製じゃなきゃダメなんだよね。
 というわけで、今回は健さんを筆頭にした豪華共演陣と、一世を風靡した?鉄矢流ハンガーヌンチャクに座布団一枚!
( 書き下ろし )

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