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コラム

連載快楽亭ブラック
「70年代フォーク映画特集 赤い鳥逃げた?」 (ななじゅうねんだいフォークえいがとくしゅう あかいとりにげた?)  監督:藤田敏八 出演:原田芳雄 1973年 掲載日2000年11月05日
 本作は、夏純子主演の「不良少女魔子」とともに、日活最後の映画として封切られた。わすれもしない´71年、夏のことだ。戦前からの長い歴史を持つ映画製作会社、日活は赤字経営が続いた挙句ついに一般映画からの撤退を余儀なくされたのだった。
 その日活がポルノ路線に転向して、日活ロマンポルノを公開するのはそれから3ヵ月後のことだ。
 なぜにそんな前置きをしたかというと、この映画はそういう歴史的背景を踏まえて観てみると、よりいっそう興味深く観ることができるからだ。夏の湘南を舞台に、若者たちのやり場のないエネルギーを描いた作品は数おおくあるが(とくに日活にはね)、本作はそれらの作品とは一線を画す出来になっている。主人公の若者たちには、彼らと同年代だった製作者たちの不安感、焦燥、絶望が見事なまでに感情移入されているのだ。そりゃそうだよね、斜陽産業になりつつあったとはいえ、映画黄金時代を観客として経験して、希望に燃えて入社した憧れの会社が青息吐息、明日のわが身も知れないっていうんだから。そんな心理状態が作品に反映されたからこそ、いまだに語り継がれる伝説の名作になりえたのだ。藤田敏八監督の最高傑作だといってよい。
 とくに印象的なのはラストで、行く当てもなく海をヨットで彷徨うシーンは、日活と日本映画界の運命を暗示しているようだった。そこへかぶる石川セリの歌う主題歌、「八月の濡れた砂」がたまらなく哀しく切ない。あっしは今でも気がつくと口ずさんでいます。その頻度たるや、3歳の息子、秀次郎がこの歌を歌えるようになったほどなのだ。いかにあっしがこの歌をよく歌っているかわかるでしょ。
 今回は、作品と主題歌のマッチングに座布団一枚!
( 書き下ろし )

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