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「私は貝になりたい」
(わたしはかいになりたい) 監督:橋本忍 出演:フランキー堺 1959年
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掲載日2000年11月14日 |
野球の世界では、よく“名選手、必ずしも名監督にあらず”といわれるが、映画の世界でも“名脚本家、必ずしも名監督ならず”といえると思う。 かつてあっしが名脚本家、成澤昌茂にインタビューしたとき、氏はこんな話をしてくれた。 “シナリオ作家にとって、自分の作品を他人に監督されるのは言葉は悪いがレイプされるようなものです。小津安二郎、黒澤明をはじめ、いろんな監督にレイプされたが、レイプされて気持ちよかったのは溝口健二だけでした” どうです、深い含蓄のあるお言葉じゃありませんか。じゃあ、その論理でいくと、自分のシナリオを自分で監督するのってオナニーになるのかな?だから自分ではイィィ〜!と思っても、それを他人に見せるとつまらないんだ。ポルノ映画でも、オナニーものよりレイプものの方が面白いもんね。う〜ん、われながらどうしてこういう例えしかできないんだろう。 というわけで、「羅生門」の名脚本家、橋本忍も自ら原作し、脚本、監督を務めた「幻の湖」は、あまりに酷すぎて今では名画座で上映すると、爆笑の連続を巻き起こす、コメディー映画も真っ青のカルト的迷作になってしまっている。しかし、今回紹介する「私は貝になりたい」は、同じ橋本忍原作、脚本、監督でも掛け値ナシに素晴らしい名作だ。 善良な理容師が、ある日突然戦争犯罪人としてMPに連行される。そして、戦時中に上官の命令で捕虜のアメリカ兵を殺した罪で、死刑を宣告されるのだ。 悲劇の主人公、豊松を演じるフランキー堺が最後に叫ぶ “私は貝になりたい” というセリフが観るものの心を打つ。同じスタッフ、キャストで製作されたテレビドラマの映画化だが、次の機会にはテレビドラマも放送して欲しい。きっといっそう興味深く見られるに違いないと思う。 今回は、橋本忍が生み出した名セリフ“私は貝になりたい”に座布団一枚!
( 書き下ろし )
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