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コラム

連載快楽亭ブラック
「その場所に女ありて」 (そのばしょにおんなありて)  監督:鈴木英夫 出演:司葉子 1962年 掲載日2000年11月19日
 最近、名画ファンの間で鈴木英夫監督の評価が高まっている。鈴木英夫は昭和30年代から40年代にかけて活躍した東宝の監督で、アクションもの、喜劇、女性映画とさまざまなジャンルの映画を撮って、どれも一定の水準は超しているという優れた才能をみせた。しかし、本人のシャイな性格ゆえか、その実力の割にはなぜかスポットを浴びることがなかった。
「その場所に女ありて」は、1963年のサンパウロ映画祭で審査員特別賞を受賞。とある小さな広告代理店に勤める女性を主人公にした作品だ。当時の東宝の、なんともノーテンキなサラリーマンものと違って、リアルで生身のサラリーマンが描かれている。そういえば、彼が監督したサラリーマン喜劇「サラリーマン目白三平」シリーズでも、森繁久弥や小林桂樹に代表されるサラリーマンものとは違って、地に足のついた等身大のサラリーマンになっていた。
「その場所に女ありて」のヒロインは、男性社会にあって恋よりも仕事を選び、自立する女になっている。昭和37年にこんな女性を主人公にした新しさ、時代の流れを読む目の確かさに驚かされる。
 今年8月の九州、湯布院映画祭でこの作品が上映され、鈴木英夫監督と司葉子がゲストとして出席していた(因みに、あっしもトークイベントのゲストとして参加させていただきやしたが、今年の主役は間違いなくこの作品だった)。その席で、司葉子は38年前の自分を見て
“若〜い、可愛〜い、艶っぽ〜い”
と、大はしゃぎ。そして、最後に
“私、中村登監督の「紀ノ川」で主演女優賞をいただいたけど、なぜこの作品では何も賞をもらえなかったんだろう?”
と、残念そうに当時を振り返っていた。
 あっしがお答えしましょう。それは、当時の映画評論家や記者が不勉強だったからであります。今回は、大女優、司葉子をいまさらながらに嘆かせた、評論家連中から座布団一枚取上げて、鈴木監督と司葉子に座布団一枚づつね。 

( 書き下ろし )

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