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コラム

連載快楽亭ブラック
「地の涯に生きるもの」 (ちのはてにいきるもの)  監督:久松静児 出演:森繁久彌 1960年 掲載日2000年11月30日
 名優、森繁久彌は、あのNHK紅白歌合戦にも出場したことのある名歌手でもある(ゲストとか、審査員とかじゃなくれっきとした歌手として)。そういえば、去年の紅白歌合戦には森繁久彌がゲスト出演したのだが、得意のトークの途中で時間がないからと舞台から降ろされてしまった。トークが全部聞けなかったのも残念だが、どうせなら自慢の森繁節をワンコーラスだけでもいいから歌って欲しかった。
 そんなこんなで歌手、森繁久彌を強調してきたが、彼の最大のヒット曲は、後に加藤登紀子も歌って大ヒットした「知床旅情」だ。この曲は、60年に公開された本作の北海道ロケ中に、彼自身が作詞、作曲したものだ。日本の北の涯て、知床半島に長く寒い冬の間中、猫を相手に番屋で過ごす老人の姿を描いた久松静児監督作品で、森繁は入魂の演技で孤独な老人を巧演している。共演は司葉子、草笛光子、山ア努、西村晃ら。
 加藤登紀子の「知床旅情」が大ヒットしたときに、その人気を当てこんで本作がリバイバル上映された。あっしは、てっきり森繁が映画の中でこの曲を歌っているものだと思い込み、大喜びで映画館にはせ参じたのだが、結局映画の中では歌われずじまいでがっかりしたのを覚えている。だけど、よく考えてみたら「知床旅情」は、本作のロケ中に作られたというだけで、別に主題歌でも何でもなかったのだから当たり前だったのだ。
 今回は、あっしにそんな勘違いまでさせる、森繁の歌手としての魅力と多芸多才ぶりに座布団一枚!
( 書き下ろし )

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