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コラム

連載快楽亭ブラック
「キッズ・リターン」 (きっず・りたーん)  監督:北野武 出演:安藤政信 1996年 掲載日2001年02月08日
 1月13日、池袋にリニューアル・オープンした新文芸座で、今月このチャンネルの目玉企画「24時間まるごとビートたけし×北野武」をこじんまりとしたような「ビートたけし×北野武オールナイト」が4本立てで上映された。上映の前にはモロ師岡のトークショーが行われたのだが、その司会を務めたのが何を隠そうあっしなのだ。これも何かの縁だから、今回はその時の話を紹介しよう。
 モロ師岡は「キッズ・リターン」で、主人公のシンジ(安藤政信)を堕落させる中年ボクサー、林を巧演していたが、もとの脚本では、この役はホステスだったんだそうだ。それが北野武監督の
“オンナで堕落するんじゃ当たり前すぎて面白くないっ!”
というツルのひと声で、あの役ができたんだって。脚本には出てこない役だから、セリフは撮影の日に北野武監督が紙に書いて、その場で渡す。役者は、それをまたまたその場で覚えて即興で演じるという手法だった。その後もこの手法は、北野作品ではけっこう当たり前になりつつあるみたいよ。やっぱ、ひらめきは大事なんだろうな。
 本作は、例のバイク事故の後で撮られた作品なんだけど、北野武自身は、本当は「HANA・BI」を撮りたがっていたんだ。でも、あの大事故の直後に「HANA・BI」を撮っちゃったら、誤解を招くことは必至だから、武にしては珍しい青春映画の本作を先に持ってきたんだ。
 ちなみに、モロ師岡から聞いた話なんだけど、師岡は本作で、北野武が選ぶ「東京スポーツ映画賞」の助演男優賞に輝いている。そのときに、武に
“また一緒に仕事しようよ”
と声をかけてもらって、すっかり感激していたんだけど、以降まるでお呼びがかからないんだってさ。
 というわけで、今回は北野武監督の現場でのひらめきと、お声がかりを待ちつづけるモロ師岡のネバリ強さに座布団一枚ね! ( 書き下ろし )

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