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コラム

連載快楽亭ブラック
「ある殺し屋」 (あるころしや)  監督:森一生 出演:市川雷蔵 1967年 掲載日2001年03月05日
 あっしだけかもしれないが、時代劇スターが現代劇に出演しているのを見ると、どうしても違和感を感じてしまう。たとえば市川右太衛門と並び称された“御大”片岡千恵蔵は、「金田一耕助」や「多羅尾伴内」「地獄」シリーズなど多くの現代劇に出演したが、チョンマゲをわすれた「いれずみ判官」(千恵蔵のあたり役で、遠山の金さんの話ね)にしか見えなかったもの。 あ、あくまで私見だからクレームとかはカンベンね。
 そこへいくと、市川雷蔵は大ヒット時代劇映画「眠狂四郎」シリーズで売ってはいても、任侠モノの「若親分」、クールなスパイに扮した「陸軍中野学校」の両ヒットシリーズや、各映画賞を総ナメにした出世作「炎上」、三島由紀夫原作、三隅研次監督とトリオを組んだ悲劇「剣」といった現代モノを演らせてもピタッとハマッていた。やっぱり本物の名優っていうのはこうゆうものなんじゃないかな。
 本作は、そんな雷蔵主演の現代アクション。表の顔は小料理屋の板前だが、実は畳針で狙った獲物を仕留めるニヒルでストイックな殺し屋、というふたつの顔を持つ男を演じ分けたハードボイルドの傑作だ。
 原作は、藤原審爾の「消される男」。増村保造が構成を、小滝光郎が脚色を担当。共演は成田三樹夫、野川由美子らで、雷蔵に反発して出し抜こうとしながらも、次第にひかれて行く若者を好演している。また、ひばり2世といわれた、チビッ子歌手時代の小林幸子が雷蔵を慕う少女役で出演(残念ながら歌も唄っていないし、豪華な衣装も着ていない)しているのも興味深い。
 監督は名匠、森一生、そして撮影監督は日本が世界に誇る名キャメラマン、宮川一夫だ。雷蔵の名演を際立たせる映像マジックを存分に堪能して欲しい。
 というわけで、今回は、名優雷蔵と、名優を引き立てる立役者、キャメラマンの宮川一夫に座布団一枚ね! ( 書き下ろし )

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