|
「泥の河」
(どろのかわ) 監督:小栗康平 出演:田村高廣 1981年
|
掲載日2001年05月19日 |
今回のオススメは、なんといっても本作でしょう。20年前、東京の新宿東映パラス2で、本作をはじめて見た時の感激は今も忘れられない。最初はモノクロ作品ということでちょっと引いたが、主人公の少年の家で、美味しそうにカキ氷を食べていた人のよさそうな馬車引きの男。芦屋雁之助演じていたのだが、直後に橋の上で馬が暴れて荷物の下敷きなって命を落としてしまう。そのシーンからグングン画面に引き込まれた。 日本と日本人が、貧しくとも暖かい心をもって支えあって生きていた、昭和31年の大坂の下町を舞台に、運河の脇に親子3人で暮らす少年と、対岸に停泊する郭船の姉弟とのひと夏の出会いと別れ、姉弟の母親役の加賀まりこの美しさ、母が客をとっている間、船べりでカニに火をつけて遊ぶ娼婦の子の孤独、そして突然の別れ、どのシーンをとっても美しく切なく哀しい。子どものころ、NHKの連続テレビ小説ヒロインだった藤田弓子の入浴シーンにも心がときめいた。そして、少年の父役の田村高廣のカッコよさよ。 本作に感動して、その魅力を全国津々浦々で語り続けたマルセ太郎さんも死んじゃったし、これからはあっしが語り部になろうか。 というわけで、今回は本作と、本作に関わったすべての人々に座布団一枚!
( 書き下ろし )
|
|