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コラム

連載快楽亭ブラック
「鬼火」 (おにび)  監督:千葉泰樹 出演:加東大介 1956年 掲載日2001年05月26日
 日本映画が全盛の昭和30年代には、邦画各社がSP版と呼ばれる短編映画を製作し、新人監督やわき役俳優の活躍の場となっていた。東映は『風小僧』や『少年探偵団』、『七色仮面』といったテレビの人気番組を再編集していたし、日活は小沢昭一主演の作品を多く作っていたように記憶している。
 このSP版にイチバン力を入れていたのが、ほかでもない東宝で、“ダイヤモンドシリーズ”と銘打ち、名匠、名優を惜しげも無く起用した、力のこもった短編映画を次々に発表していったのである。その代表的な作品が、堀川弘通監督の『琴の爪』と本作なのだ。
 加東大介扮する、真面目なガス会社の集金係がとある貧しい家に取り立てに行く。そこで、病に臥せった夫を健気に看病する美しい妻(津島恵子)に出会う。津島によこしまな欲望を抱いた加東は、取立てを猶予するかわりにその肉体を要求する。しかし、やがて悲劇が…
 本作以前は善人ばかりを演じてきた加東が、初の悪役を熱演した。これが彼の初主演作で、以降社長シリーズなどのヒットシリーズに出演して、スターへとステップアップする記念の作品と言える。
 今回は、味わい深い短編映画に座布団一枚!
( 書き下ろし )

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