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コラム

連載快楽亭ブラック
「晩菊」 (ばんぎく)  監督:成瀬巳喜男 出演:杉村春子/上原謙/沢村貞子 1954年 掲載日2002年05月24日
 名女優・杉村春子の生の舞台を始めて見たのはもう20年も前だろうか。新装なった新橋演舞場での歌舞伎・文学座合同公演だった。
 杉村春子、尾上松緑、尾上辰之助、夏目雅子の4大スターの顔合わせが売りだったが、一番若い夏目雅子が数年後に亡くなり、それから辰之助、松緑と亡くなって、最年長の杉村春子が一番長生きするとは思わなかった。
 それから「女の一生」「怪談牡丹燈篭」「降るあめりかに袖は濡らさじ」「華岡青洲の妻」と舞台での当たり役はすべて見た。いやになるくらい巧い女優だった。さすがに「女の一生」の序幕で14才の少女役で出た時だけは、勘弁してくれよと思ったが。最後に見た舞台は芸術座での「晩菊」だった。この作品は、映画での彼女のナンバーワン作品の舞台化で、さぞいいだろうと思ったら全然ダメ。よく考えたら舞台版は演出家がせこかった。映画「晩菊」は女を描いたら日本一の成瀬巳喜男だもの。
 映画は役者だけでもスタッフだけでもダメ。両方が揃ってこそ人を感動させるものなのねと思い知らされた。その「晩菊」が放映されるぞ。昔の恋人がやってくるので娘のようにはしゃぎ、会ってむなしさを感じる杉村春子の名人芸をとくとごろうじろ。 ( 書き下ろし )

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