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「「旅役者」」
(たびやくしゃ) 監督:成瀬巳喜男 出演:藤原鶏太(釜足)/柳谷寛/山根寿子/清川虹子/中村是好/清川荘司 1940年
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掲載日2002年11月29日 |
TVが普及しなかった時代は日本全国に大スターのニセ者が多かった。エノケンかと思ったらエノヘソだったり、美空ひばりかと思ったら美空ひはりだったりね。 成瀬巳喜男の喜劇「旅役者」も、ある田舎村の電柱に貼られた一枚のポスターから始まる。「六代目・菊五郎来たる!」と大きな字で書かれたポスター、しかしよく見ると六代目と菊五郎の間に小さく中村の文字が。それで見た村人が「なんか違うんではねえか?」 そう、当時大スターだったのは尾上菊五郎、中村菊五郎なんて役者は聞いたこともない。 この名もない旅役者一行、しかし「塩原多助一代記」を上演させたら日本一との自負があり、特に馬の脚役者の藤原釜足と柳谷寛は我こそは日本一の馬の脚と自慢している。ところが肝心の馬の頭を酔っぱらった村人に壊されてしまい、代わりにこしらえた頭は馬というよりキツネにしか見えず、多助と愛馬の別れの場面でいつもは客が泣くところを大爆笑になってしまう。これではやっていられないと座長は本物の馬を使うことにするというお噺。笑いの中にペーソスが漂い、楽しめる作品だ。はっきり言って成瀬巳喜男は悲劇より喜劇の方が上手いんじゃあないかしらん。
( 書き下ろし )
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