|
「生きる」
(いきる) 監督:黒澤明 出演:志村喬/日守新一/田中春男/千秋実/小田切みき/左卜全/藤原釜足/金子信雄 1952年
|
掲載日2003年01月10日 |
新藤兼人監督の「生きたい」が完成した時に、朝日新聞から批評を頼まれた。天下の朝日新聞に映画批評を書けるとはなんと名誉なことだと張り切って書いた原稿のオチは、この「生きたい」を黒澤明の「生きる」、ダンカンの「生きない」と3本立でどこかの名画座で上映してくれないかというものだった。
原稿を送ってしばらくして担当記者から電話があった。「生きる」「生きない」「生きたい」の3本をまとめて上映することにどういう意味があるのかと大マジメに聞いてきたから困ってしまった。意味なんか何もない。
ただのシャレなのに、どーしてそれがわからないかねえ。
「生きたい」と「生きない」は駄作だったが「生きる」は掛け値無しの名作で、「七人の侍」と並んで黒澤明監督の最高傑作だ。見る者を感動させずにはおかないヒューマン・ドラマの影にある、市民に奉仕しようとせずにただ仕事をしている振りをしているだけの役人たちの姿は、この映画から51年たった今も変わらない。今見ると驚くばかりの名優たちの共演も凄いぞ。特に伊藤雄之助が。こんな時代だからこそ、心にしみる名作を見て感動初めといきたいものだ。
( 書き下ろし )
|
|