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コラム

連載快楽亭ブラック
「讃歌」 (さんか)  監督:新藤兼人 出演:渡辺督子/河原崎次郎/乙羽信子/原田大二郎 1972年 掲載日2007年10月19日
大人の大人による
大人の為の映画だ!

 盲目で絶世の美女の琴三弦の名手春琴と、彼女を慕い奴隷のように仕える使用人、佐助の異常な愛を描いた谷崎潤一郎の「春琴抄」は、これまでに何度も映画や舞台で描かれてきたが、あっし的には新藤兼人が脚本、監督、そしてインタビューアーとして出演している「讃歌」が一番好きだ。
 この映画、新藤兼人が春琴の家に仕えていた女中、乙羽信子にインタビューして、春琴と佐助の生活を回想するという形になっている。それまで大スターが演じてきた春琴と佐助を、無名の渡辺督子と河原崎次郎が演じることによって、まるでドキュメンタリーを見ているようなリアリズムを感じることが出来る。
 そして春琴をドS、佐助をドMとハッキリ決めつけることで、二人の関係が実に明解によくわかる。
 春琴は自らの芸と美しさに誘いを持ち、女王の如くふるまう。佐助はそんな春琴に何をされようとも、春琴を独占し、二人きりで時間を共有できることに歓びを感じる。
 いつしか二人は関係を持つようになるが、そのSEXは春琴の性の快感追求のみを目的とし、佐助が快感を求めることは許されない。やがて春琴は妊娠、出産するが、春琴は快感を求める為だけにSEXをしたのだから、まるで子供に愛情を示さず子供はすぐに里子に出される。
 谷崎潤一郎がもしこの映画を見たら、よく俺のテーマをはっきり描いてくれたと感激するだろう。大人の大人による大人の為の映画だ。

→「讃歌」放送スケジュール ( 書き下ろし )

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