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コラム

連載快楽亭ブラック
「女が階段を上る時」 (おんながかいだんをあがるとき)  監督:成瀬巳喜男 出演:高峰秀子/森雅之/仲代達矢/団令子 1960年 掲載日2007年11月09日
女を見るその冷静な
視線に舌を巻く!

「流れる」もそうだし、「女が階段を上る時」も、成瀬巳喜男は賞味期限が切れかかるギリギリの女を描かせたら日本一だと思う。
 「女が階段を上る時」を初めて見たのは10代の頃で、さすがにまるで理解できなかった。この歳になって見直すと、女を見るその冷静な視線に舌を巻く。
 銀座でもあまりパッとしないバーの雇われマダムの高峰秀子が、プロに撤しきれずに情に流され言い寄る客と関係を持つが裏切られ続けという物語が悲しくてやりきれない。
 成瀬巳喜男ならぬ、“ヤルセナキオ”と呼ばれたのがよくわかる。
 銀座のバーの女や客にズラリ名優が揃っているが、巧いのは加東大介だ。「社長」シリーズやそのほかの映画で見せるイメージ通りの誠実な中年男と思い、気を許して体を許したら、とんだ一杯喰わされ者だったというのは、絶妙もキャスティングであり、また、加東大介の代表作の一本である。
 ところで、兄代、橘家円蔵師匠といっても知らない人がほとんどであると思うが、鬼瓦のような怖い顔をしてつまらなそうに漫談をしゃべるのが不思議におかしかった師匠で、林家三平、現・橘家円蔵の師匠だった人だ。
 その人のネタで、映画の題名にケチをつけるのがあった。「『悪い奴ほどよく眠る』ってうっかり眠っていられねぇ。『女が階段を上る時』って、下がる時の方が面白い」。後者は今もまだ意味がわからないのだが。

→「女が階段を上る時」放送スケジュール ( 書き下ろし )

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