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コラム

連載快楽亭ブラック
「素浪人罷通る」 (すろうにんまかりとおる)  監督:伊藤大輔 出演:阪東妻三郎/守田勘彌/喜多川千鶴/片山明彦 1947年 掲載日2008年01月18日
日本時代劇映画史に残る至極の名作!

 最近の若い映画ファンは白黒映画がきらいだそうだ。わかるなあ、そ気持ち。カラーが当たり前の時代に育ったものにとって、白黒映画は古臭いし、貧乏たらしい気がするもんね。
 実は子供時代のあっしもそうだった。名画座に3本立を見に行って、1本が白黒だったりするとがっかりして、見ずに帰ろうと思ってしまう。
 でも当時のあっしはひまだった。(今でもそうだけど)少し我慢して見て、退屈だったら途中で帰ろう。
 そう思って見始めたら、あまりの面白さに席を立てなくなり、あまりの感動で我が映画人生の貴重な財産になった映画が2本ある。1本は「ローマの休日」もう1本が「素浪人罷通る」だ。お馴染み、天一坊ものだが、八代将軍が徳川吉宗の隠し子として名乗りをあげた天一坊がとんだ喰わせ者だったというそれまでの話と違い、この映画の天一坊は本当に将軍の子で、それを知った浪人、阪東妻三郎が父子対面をさせようと努力するが、老中は天一坊を実の子と知りながらニセ者として捕えるよう大岡越前守に命ずる。権力と正義の板ばさみになった大岡越前守は?
 阪妻の浪人が圧倒的な存在感でしびれるような魅力。この頃はGHQの政策で時代劇は撮っても立ち回りは禁止されていたが、立ち回りがなくても立ち回り以上の迫力を見せるのだから伊藤大輔が名匠の名に恥じない。そしてラストシーンのやさしさに救われ、涙がこぼれて止まらなかった。日本時代劇映画史に残る至極の名作だ。お見逃しなく。

→「素浪人罷通る」放送スケジュール ( 書き下ろし )

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