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コラム

連載快楽亭ブラック
「婦系図」 (おんなけいず)  監督:三隅研次 出演:市川雷蔵/万里昌代/船越英二/三条魔子 1962年 掲載日2008年03月14日
美しいセリフを天下の美男子・市川雷蔵が朗々と語る名作

 1月は9公演、やたらと芝居を見てしまった。ベスト1は三越劇場の新派公演「女将」だった。昭和27年5月から6月、ちょうどあっしが生まれた頃の銀座近くの老舗料亭を舞台にしたこの芝居。笑わせて、泣かせて、最後は名匠・小津安二郎の映画のようにしみじみさせる。今年で創立120年になる劇団新派の底力を見た想いがした。
 その新派の代表的な演目が「婦系図」だ。原作・泉鏡花の美しいセリフにまずしびれる。それを天下の美男子・市川雷蔵が朗々と語るんだからたまらない。お蔦役の万里昌代もいい。今でいえば木村多江、薄幸の女を演じさせたらピカイチだ。
 歌舞伎や落語、文楽、能、狂言といった芸能は見ようと思えばいつでも見ることが出来るが、新派には他にも「日本橋」や「明日の幸福」「佃の渡し」等、名作がいくらでもあるのに、それを見る機会が少なくなったのは悲しいことだ。こういう古き良き日本の人情を描く劇団こそ、国が保護してやればいいのに。それに今は昭和30年代がブームなんだから、その時代を見事に表現出来る新派を日本人はもっと見るべきだ。その手始めとして、まずは今月放映される「婦系図」を見てもらいたい。そしてもしお蔦、主税の悲恋に涙したら、6月の新橋演舞場の新派公演「婦系図」を是非見てもらいたい。早瀬主税役は、あっしが市川雷蔵の再来だと思っている片岡仁左衛門、お蔦役は波乃久里子。この舞台もたまらなくいいから。

→「婦系図」放送スケジュール ( 書き下ろし )

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