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コラム

連載快楽亭ブラック
「女殺し油地獄」 (おんなごろしあぶらのじごく)  監督:堀川弘通 出演:中村扇雀/香川京子/新珠三千代/中村鴈治郎 1957年 掲載日2008年05月23日
現代劇でも通用する、近松門左衛門の偉大な原作!

 3月の歌舞伎座は人間国宝、坂田藤十郎の喜寿記念公演で、藤十郎が「京鹿子娘道成寺」を踊っていた。
 77歳とはとても想えない美しさ、軽やかで華やかな舞い姿に圧倒された。さすがに座右の銘が〈一生青春〉だけのことはある、と感心させられた。
 さて、今月放映される「女殺し油地獄」はその坂田藤十郎が今から51年前、中村扇雀を名乗っていた頃の作品だ。
 まずはシェークスピアと並ぶ劇聖、近松門左衛門の原作に圧倒される。
 息子の非行、家庭内暴力、衝動殺人。元禄時代の話なのに、まるで古くない。現代劇でも通用する程なのだ。
 若さゆえにマジメに働くことが馬鹿らしく、目先の快楽に走ったばっかりに多額の借銭を作り、自分を案ずる両親の愛情を初めて知って更生を誓ったのも束の間、問題解決の手段を知らず凶悪犯罪に手を染めてしまう河内屋与兵衛。幼子を残して死にたくないと与兵衛の凶刃から逃れようとする隣家の女房、お吉。
 殺人者と被害者が油まみれになってからみ合う姿は正に地獄絵図。「女殺し油地獄」とはよくぞ付けたり、近松門左衛門。
 この作品について、藤十郎の次男である現・中村扇雀が語るのも興味深い。この芝居、長男の中村翫雀は演じたことがあるが(好演だった!)扇雀はまだ演じていないのだ。早く、現・扇雀の「女殺し油地獄」を観てみたいものだ。

→「女殺し油地獄 」放送スケジュール ( 書き下ろし )

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