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コラム

連載快楽亭ブラック
「銀座化粧」 (ぎんざげしょう)  監督:成瀬巳喜男 出演:田中絹代/香川京子/花井蘭子/堀雄二 1951年 掲載日2008年06月20日
柳永二郎演じる、無学だが人情家のダメ男が見事!

 溝口健二と成瀬巳喜男、どちらも女性を描かせたら巧い名監督だが、溝口健二が女の強さ、したたかさを描くのに対して成瀬巳喜男は女の弱さ、哀しさを描く。特に賞味期限切れすれすれの女を描かせたら成瀬は日本一、いや世界一だ。
 「銀座化粧」も田中絹代の子持ちで年増の銀座ホステスが田舎から上京してきた青年・堀雄二と出逢い彼に恋するが、彼は田中よりずーっと若い香川京子と結ばれるという、年増ホステスの哀歓を描いた秀作で、後の「流れる」「晩菊」につながる作品といえる。
 しかしあっしがこの映画で気に入っているのは、田中絹代が住んでいる下宿の大家・柳永二郎だ。かつては大店の旦那だったのが芸者に貢いで無一文になり、その芸者の家に転がり込んで喰わせてもらっている気のいい親父。いつも女物の綿入れ袢天を着て、“島崎藤村詩集”を“しまざきふじむらししゅう”と読み、田中絹代の元の旦那・藤村が書いた本と勘違いする無学だが人情家のダメ男を見事に演じているのだ。
 東映時代劇では悪の黒幕といった役の多い柳永二郎が粋な下町の親父をさらりと演じているのに驚きつつ、その巧さに舌を巻いた。この映画の柳永二郎のように生きたいものだとしみじみ思った。この映画を2年前にフィルムセンターで観て以来、あっしの冬のファッションを女物の綿入れ袢天にしたところ大好評だ。
 ただしあっしを喰わせてくれる女がいないのがネックなんだよねェ。

→「銀座化粧」放送スケジュール ( 書き下ろし )

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