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「ゴジラ」を愛し、その制作に深く関わってきた「ゴジラを創った男たち」のインタビュー、題して「G インタビュー」。
第二弾は、初代ゴジラを演じたスーツアクターのパイオニア・中島春雄さんのインタビューをお届けします。

'29年1月1日生まれ、山形県出身。ゴジラ作品には'54年の「ゴジラ」から'72年の「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」まで計12作品に出演。ほか「ウルトラQ」や「ウルトラマン」といった円谷作品に多数出演。俳優引退後は、アメリカや日本のゴジライベントで精力的に講演を行っている。
恐竜や怪獣が主役となる映画は世界中にいくらでもある。だが、ゴジラほど長きにわたり世界中で人気を集めているシリーズはないだろう。これは、ゴジラの中に人間が入り、生きている生物として、リアルに演技していたことが大きいのではないだろうか?
今回ゴジラシリーズのハイビジョン化にあたり、初代ゴジラから12作目の『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』までゴジラを演じ、ゴジラに生命を与えたスーツアクター・中島春雄さんにゴジラシリーズの裏話を伺った。
今でこそ世界的に著名なスーツアクターとなった中島さんだが、ゴジラへの出演のきっかけは日本初のファイヤースタントにあった。
中島さん:「僕は予科練(軍隊学校)あがりでさんざんしごかれてきたから、普通の人がきついと思う仕事も楽々こなしていたんだよ。そんな姿を見てか、『太平洋の鷲』(1953年)という映画で、日本映画史上初めて、人が火だるまになるアクションシーンをやらされたんだ。それを見たおやじさん(円谷英二監督)が『あいつは頑丈だからなんでもできる』って思ってゴジラに採用したんじゃないかな。
初めての怪獣映画。当然、いままでは誰も演じたこともない。手探りでゴジラの演技を模索した。

「ゴジラ(1954年)」
TM &(C)1954 TOHO CO.,LTD.
中島さん:脚本をもらったんだけど、「G作品」とだけ書かれていて、ゴジラとは何かの説明がない。まったく何を演じたらいいのか分からず、おやじさんに聞きにいったら、ゴジラが描かれた絵コンテを見せてくれたんです。でも得体の知れない生き物だから、どう演じればいいのか分からない。おやじさんに参考になるものはあるかと聞いたら、アメリカの『キング・コング』(1933年)のプリントを見せてくれたんですね。ただ『ゴジラの中に人間がはいっていると思わせてはいけない。人間らしい動きはしてはだめだ』と念を押されてね。だから上野動物園に行って動物の動きを研究したんですよ。参考になったのは象の動きだね。象の足はすり足なんですよ。絶対に足の裏を見せない。このすり足が重厚な動きになるんだね。足の裏を見せるとどうしても作りものに見える。“どっこいしょどっこいしょ”って感じになるんですよ。だからゴジラは足の裏を見せていない。ハイビジョンで確認してみてもわかると思いますよ。
100kgを越える巨大な着ぐるみを着ての演技。撮影に入ってもすべてが初体験。撮影は苦難の連続だった。

ゴジラスーツ
中島さん:最初のゴジラは100kg以上あったんじゃないかな。男4人でリヤカーで運んでいたんだから。それを着て演技するのは大変だよ。水中のシーンは重量が軽くなるから楽なんだけど、ずっと水につかっていないといけない。最初はゴムホースをくわえていたんだけど、ゴムホースが折れたら空気がこない。あれは、一番危なかったね。あと、ロケットが飛んできたり、火薬がスーツの表面で爆発したりするから、煙もすごいんだよ。スーツに穴があいていたせいで、火傷したこともあった。けど、そのときはそのまま演技して、カット終わってから、ちょっと「火傷したかな」なんて言ったりしてた。ロケットもかなりの勢いで、ボンボン飛んでくるんですよ。ベニア板を置いておやじさん(円谷英二)がテストした時なんか、ロケットを飛ばしたら、ベニア板をぶっ倒した。「あれ? 吹っ飛んだね」なんておやじさんが言うんだけど……それが容赦なく飛んでくるっていうのは、今じゃ考えられないね。
ミニチュアや高速撮影など、特撮ならではの特殊な撮影にも気を使ったという。

「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」
TM &(C)1972 TOHO CO.,LTD.
中島さん:ゴジラはリテイクができないんですよね。いったん物を壊したら作り直すのが大変だから。一度、名古屋城を撮影前にスタッフが壊したことがあったんけど、作り直しに2週間くらいかかってて。ミニチュアを壊すのみの演技が必要なんだ。おやじさんは、『壊すつもりで壊したらダメ、進むのに邪魔だから「ちょっとどいてください」という感じでいけばリアルな動きになる。むやみやたら壊しては面白くない。無駄に壊してはだめだよ』って言ってたね。しかもそれを早い動きでやれと言うんだよ。ゴジラは設定上、50mの高さがあるでしょ。それが動く様子を表現するために、通常の3倍の速度で撮って、1/3の速度にして再生するでしょ、そうすると大きなものが動いている雰囲気が出る。そのため、通常1秒24コマのとこを72コマにして撮っていた。100kgの着ぐるみを着て、3倍の早さで動かないといけない。無茶な注文なんだけど、僕はやってしまうんですよね。
50年前の撮影現場が目の前で蘇る。役者冥利につきるハイビジョンならではのクリアな画像。
中島さん:古いフィルムはプリントが古くなってできる傷や汚れで、雨が降っているように見えますよね。あの映像を見るのは苦痛でした。今回初めてハイビジョン化されたわけだけど、この雨やゴミが全くないね。僕もこんなキレイな映像を見るのは50年前の公開以来だな。役者さんの顔が懐かしい。まるでそこにいるかのようだよ。もう亡くなった人もいるけれど、ハイビジョンになると、まるでその人が生き返ってくるようだね。役者は亡くなってもハイビジョンでいつでも蘇るんだから、ありがたい。おやじさんが生きていたら喜んだろうな。あの人は新しいもの好きだし、現場のアイデアを聞いて面白いと思ったらすぐに採用していた。おやじさんですら見られなかった鮮明な映像がテレビで見られるだからすごいよね。
史上最強のハイビジョン ゴジラ完全放送
10/25(土)より3ヶ月 28作品
writer/daisuke horie(D☆FUNK) 撮影:小谷信介

