生誕120年 テレビドラマで観る笠智衆

「寅さんシリーズ」に登場する御前様としておなじみ、そして名匠・小津安二郎監督作品の常連として、
世界的にも知られる名優・笠智衆が、2024年に生誕120年を迎えます。

生誕120年に合わせて、昨年11月に亡くなった脚本家の山田太一と笠智衆がタッグを組んだテレビドラマを4作品セレクション放送。
映画のみならず、テレビドラマにも大きな足跡を遺した笠智衆の仕事を振り返ります。

5月13日(月)・14日(火) よる7時30分ほか

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ながらえば
放送日:5月13日、5月24日、5月31日
1982年・カラー    監督:(演出)伊豫田静弘   脚本:山田太一  
出演:笠智衆/宇野重吉/長山藍子/堀越節子/中野誠也/佐藤オリエ  

名脚本家と名優が四つに組み、妻との別れに瀕する老夫の心境を描くドラマ。脂の乗り切っていた山田太一が、松竹の助監督時代からの念願だった笠智衆を主演に、老夫婦の愛の形を真摯に見つめた名作。重病の妻を名古屋の病院にひとり残し、転勤先の富山で息子一家と同居することになった隆吉(笠)は、妻に逢いたい一心で衝動的に列車に飛び乗るが、料金不足で途中下車を余儀なくされる。その駅で、妻を亡くしたばかりの旅館の主人(宇野)に遭遇する。

ながらえば(C)NHK
冬構え
放送日:5月13日、5月30日
1985年・カラー    監督:(演出)深町幸男   脚本:山田太一  
出演:笠智衆/沢村貞子/藤原釜足/小沢栄太郎/藤原釜足/岸本加世子/金田賢一/せんだみつお/谷村昌彦  

四季になぞらえた人の一生の終焉を、山田太一が洞察する痛切な人間ドラマ。死を覚悟した老人の孤独な胸中を力演する笠智衆を、藤原釜足、沢村貞子ら世代の近い名優が強力にサポートし、味わい深いアンサンブルを奏でる。妻に先立たれ、心身の衰えを痛感する圭作(笠)は、子や孫に負担をかけたくないと、全財産と遺書を携えて熊本を旅立つ。晩秋の東北地方へと向かう道中、一人旅を続ける老婦人(沢村)や、前途ある若い恋人たちと触れ合う。

冬構え(C)NHK
今朝の秋
放送日:5月14日、5月31日
1987年・カラー    監督:(演出)深町幸男   脚本:山田太一  
出演:笠智衆/杉村春子/倍賞美津子/杉浦直樹/樹木希林/加藤嘉  

忍び寄る死の影が、解体した家族に投げかける波紋を丹念に描くドラマ。小津作品などで共演した笠智衆と杉村春子が元夫婦を巧演するほか、山田太一の脚本を熟知した深町幸男の演出、武満徹の音楽なども絶妙に噛み合った逸品。蓼科に隠居する鉱造(笠)は、一人息子の隆一(杉浦)が余命わずかと知り、東京の病院に駆けつけるが、そこで約20年前に離婚したタキ〈杉村)と気まずい再会を果たす。父として途方に暮れる中、鉱造は密かに息子を蓼科に連れ帰る。放送文化基金賞本賞、毎日芸術賞(深町幸男演出)ほか多くの賞を受賞した。

今朝の秋(C)NHK
春までの祭
放送日:5月14日、5月23日
1989年・カラー    監督:(演出)河村雄太郎   脚本:山田太一  
出演:吉永小百合/笠智衆/藤竜也/坂詰貴之/山口美江/野際陽子  

山田太一が未亡人と義父との移ろう関係性を見つめる、フジテレビ開局30周年作。数々の名作を生んだ山田と笠智衆が組み、新たな恋に揺れる亡き息子の嫁に複雑な思いを寄せる義父の葛藤を丹念に描く。3年前に息子を亡くした逸次(笠智衆)は、息子の嫁の香奈(吉永小百合)と男子高校生の孫と、淋しいながらも平穏に暮らしていたが、見知らぬ男(藤竜也)と密会する香奈の姿を偶然目撃し、義娘の幸せを願いつつも二人の関係が気になり、行動を開始する。

春までの祭(C)フジテレビジョン