いま、映画作家たちは 2020いま、映画作家たちは 2020

2020年―。
映画の在り方は変わりつつある。いまやテレビでもパソコンでも、スマホでだって映画は観ることができる。
そんな時代のなかで、映画に向き合い、映画を作り続ける「映画作家」たちがいる。

これが映画だ、こんな映画が観たかったんだ、と思わせてくれる「映画作家」たちがいる。

未だ彼らの映画に出会ってこなかった人たちへ、劇場で観ることがかなわなかった人たちへ、
そして、心震えたあのシーンをもう一度観たい人たちへ―

さらに2020年という同時代に存在する映画作家たちに迫るオリジナル番組も制作。

新たな日本映画の到来を予感させる映画作家たちが、いま、日本映画専門チャンネルに集結する。

5月29日(金)、30日(土) 連日よる11時より放送

特別番組「いま、映画作家たちは2020 監督 三宅唱にまつわるいくつかのこと」Youtubeで本編の一部を公開中
スカパー! スカパー!
5月 三宅唱

1984年生まれ。北海道札幌市出身。09年に短編『スパイの舌』(08)が第5 回シネアスト・オーガニゼーション・イン・大阪(CO2)エキシビション・オープンコンペ部門にて最優秀賞を受賞。初長編作品『やくたたず』(10)を発表後、12年に劇場公開第1作『Playback』を監督。同作は第65 回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に正式出品され、話題を呼んだ。14年には、音楽ドキュメンタリー『THE COCKPIT』を発表。17年には、時代劇専門チャンネル・日本映画専門チャンネルのオリジナル作品『密使と番人』で初の時代劇に挑戦。18年には、佐藤泰志原作の映画化作品『きみの鳥はうたえる』を発表。その他の作品に、地元の中高生らと共作した映画『ワイルドツアー』(19)、ビデオダイアリー「無言日記」シリーズ(14~)、建築家・鈴木了二との共同監督作品『物質試行58 A RETURN OF BRUNO TAUT 2016』(16)などがある。監督からのメッセージ

いま、映画作家たちは2020 監督 三宅唱にまつわるいくつかのこと(2020)TV初

俳優、評論家、ミュージシャン、文化人たちへのインタビューを通じて今泉力哉、濱口竜介、三宅唱...2020年という同時代に存在する映画作家たちに迫るオリジナル番組

Youtubeで本編の一部を公開中

「きみの鳥はうたえる」(2018)

芥川賞候補にもなった佐藤泰志の同名小説の映画化で、函館の地を舞台に、微妙なバランスで成り立つ男女3人の関係を描いた青春物語。
終わりの予感を抱えながらも、夜通し酒を飲み、踊り、笑いあう若者たちの幸福な日々を描く。
日本映画史にその名を残すことになるであろう、クラブシーンは必見。

監督・脚本:三宅唱
出演:柄本佑、石橋静河、染谷将太、足立智充、山本亜依、柴田貴哉、水間ロン、OMSB、Hi'Spec、渡辺真起子
原作:佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』(河出書房新社 / クレイン刊)

「ワイルドツアー」(2019)TV初未ソフト化

地元の中高生という演技未経験者たちを被写体に、「映画」や「物語」の作り方を再提示してくるような青春映画。
『きみの鳥はうたえる』にも通じる男2人と女1人の微妙な関係性を、本作では中学生の淡い恋として瑞々しく描く。

監督・脚本・撮影・編集:三宅唱
出演:伊藤帆乃花、安光隆太郎、栗林大輔、伊藤己織、髙椋優気、増田結妃、桝田七海、渡邊芽惟、渋谷圭香、河村百音、川俣実穂、福田未空、横山南

「密使と番人」(2017)未ソフト化

幕府管理下の日本地図を巡る、男たちの静かなる追走劇。三宅監督が初の時代劇に挑んだ異色作

監督・脚本・編集:三宅唱
出演:森岡龍、渋川清彦、石橋静河、井之脇海、足立智充、柴田貴哉、嶋田久作

「THE COCKPIT」(2015)未ソフト化

『きみの鳥はうたえる』でもタッグを組むOMSBとHi'Specらヒップホップアーティストを被写体としたドキュメンタリー

監督:三宅唱
出演:OMSB、Bim、Hi'Spec、VaVa、Heiyuu

「Playback」(2012)未ソフト化

現在と過去が交錯し反復される、映画というものを再発見させるような世界観をつくりだし、国内外の評論家や多くの映画ファンの注目を集めた劇場デビュー作。

脚本・編集・監督:三宅唱
出演:村上淳、渋川清彦、三浦誠己、河井青葉、山本浩司、渡辺真起子、菅田俊

「やくたたず」(2010)未ソフト化

北海道の荒野を背景に、男子高校生たちの姿を見つめた長編処女作。村上淳が本作に惚れ込んだことにより「Playback」が生まれた。

監督・脚本・撮影・編集:三宅唱
出演:柴田貴哉、玉井英棋、山段智昭、櫛野剛一、足立智充

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4月 今泉力哉

1981年福島県生まれ。2010年、『たまの映画』で長編映画監督デビュー。2013年、『こっぴどい猫』がトランシルヴァニア国際映画祭最優秀監督賞受賞。『サッドティー』(13)、『知らない、ふたり』(16)、『退屈な日々にさようならを』(17)『パンとバスと2度目のハツコイ』(18)などオリジナル脚本の恋愛群像劇を多く手がける。2019年、角田光代原作の『愛がなんだ』が大ヒットを記録。伊坂幸太郎原作の『アイネクライネナハトムジーク』(19)をはじめ、男性同士の恋愛を題材にした『his』(20)田中圭主演のオリジナル恋愛群像劇『mellow』(20)を公開。最新待機作品に全編下北沢で撮影した『街の上で』(2020年5月公開予定)、劔樹人による自伝的コミックエッセイを原作の『あの頃。』(2021年公開予定)がある。監督からのメッセージ

「いま、映画作家たちは2020 監督 今泉力哉にまつわるいくつかのこと」(前編/後編) (2020)

俳優、評論家、ミュージシャン、文化人たちへのインタビューを通じて
濱口竜介、今泉力哉、三宅唱...2020年という同時代に存在する映画作家たちに迫る特別番組。
4月は監督・今泉力哉。若葉竜也、マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)、吉田靖直(トリプルファイヤー)らが今泉力哉の魅力を語る。

出演:若葉竜也、伊藤沙莉、戸田真琴、マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)、吉田靖直(トリプルファイヤー)、佐久間宣行、モルモット吉田、市橋浩治、森直人、矢田部吉彦

Youtubeで本編の一部を公開中

「愛がなんだ」(2019)

SNSを中心とした口コミで超ロングラン上映となった大ヒット作がTV初登場!
"正解のない恋の形"を模索し続ける、今泉力哉監督の作家性が存分に堪能できる1本。

監督:今泉力哉 脚本:澤井香織、今泉力哉
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也
原作:角田光代『愛がなんだ』(角川文庫刊) 主題歌:Homecomings「Cakes」

「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018)

元乃木坂46の深川麻衣、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの山下健二郎出演!
結婚に踏ん切りがつかない"恋愛こじらせ女子"と、彼女の初恋相手の恋愛模様が描かれるラブストーリー

監督・脚本:今泉力哉/出演:深川麻衣、山下健二郎、伊藤沙莉、志田彩良、安倍萌生、勇翔、音月桂 主題歌:Leola『Puzzle』

「退屈な日々にさようならを」(2016)

今泉監督が地元・福島と東京を舞台に描いた、〈ひとがいなくなること〉や〈想い続けること〉についての群像劇

監督・脚本:今泉力哉/出演:内堀太郎、松本まりか、矢作優、村田唯、清田智彦、秋葉美希 主題歌:カネコアヤノ「退屈な日々にさようならを」

「知らない、ふたり」(2016)

韓国の人気男性グループ「NU'EST」のレンや、女性ファッション誌でモデルとして活躍する青柳文子出演。
お互いの想いを"知らない"7人の男女が、交際したり思いを寄せたりするなど複雑に交錯していく様を映し出す。

監督・脚本:今泉力哉/出演:レン、青柳文子、韓英恵、ミンヒョン、JR、芹澤興人、木南晴夏 主題歌:NU'EST『Cherry』

「サッドティー」(2013)

ずるずると二股する男、浮気されているけど黙認している女、ひたすら一途な男...
など何かをこじらせた男女12人の視点から「ちゃんと好き」ということを考察する恋愛群像劇。

監督・脚本・編集:今泉力哉/出演:岡部成司、青柳文子、阿部隼也、永井ちひろ、國武綾、二ノ宮隆太郎

「こっぴどい猫」(2012)

モト冬樹演じる初老の作家を軸に、総勢15人の男女が登場、7つの三角関係が交差する究極のダメ恋愛群像劇恋愛の本質をユーモラスに描いた"ダメ恋愛群像劇"、ここに、極まれり。

監督・脚本・編集:今泉力哉
出演:モト冬樹、小宮一葉、内村遥、三浦英、小石川祐子、平井正吾、後藤ユウミ、高木珠里、結、工藤響、今泉力哉、木村知貴、前彩子、泉光典、青山花織

「たまの映画」(2010)

90年にバンドブームを巻き起こしたアマチュアバンド発掘番組"イカ天"への出演を契機にスターダムにのし上がった人気バンド・たまの元メンバーに密着。メンバーの脱退や解散を経た彼らの"今"を捉える音楽ドキュメンタリー。

監督:今泉力哉
出演:石川浩司、滝本晃司、知久寿焼、上田誠、ワタナベベイビー、大槻ケンヂ

「nico」(2012)

無差別殺人集団映画『BOB』と自主映画制作集団内恋愛『nico』を通じて今泉力哉が描く、ある愛の詩。
気鋭の映画監督を輩出するMOOSIC LAB2012で審査員グランプリ&監督賞を受賞し、高く評価された貴重な短編作品。

監督・脚本・編集・劇中歌制作:今泉力哉 / 劇中歌演奏・歌:北村早樹子 / 出演:芹澤興人、北村早樹子、内田周作、大迫茂生、柳俊太郎

「his ~恋するつもりなんてなかった~」(2019)

普通の男子高校生二人の間に芽生えた友情が、やがて愛に発展していく青春ドラマ。
「同性愛」に気づいた自分自信への不安と困惑、葛藤を今泉監督が丁寧に描く。2020年1月にドラマの続きが映画化もされた。

監督:今泉力哉、中里洋一
脚本:アサダアツシ
出演:草川直弥/倉悠貴/志田彩良/栗林藍希

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3月 濱口竜介

1978年、神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』(2010)や、東日本大震災の被災者へのインタビューから成る『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(2011〜2013)など、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続ける。そして2015年、主人公4人の女性たちをはじめ、ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめた5時間超えの大作『ハッピーアワー』を発表。海外で複数の映画賞に輝くほか、キネマ旬報日本映画ベスト・テンで第3位に入る快挙を達成した。商業デビュー作「寝ても覚めても」が第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、高い評価を得た。監督からのメッセージ

「いま、映画作家たちは2020 監督 濱口竜介にまつわるいくつかのこと」(2020)

俳優、評論家、ミュージシャン、文化人たちへのインタビューを通じて濱口竜介、今泉力哉、三宅唱...2020年という同時代に存在する映画作家たちに迫る特別番組。
3月は監督・濱口竜介。村上淳、伊藤沙莉、千葉雅也らが濱口竜介の魅力を語る。

出演:村上淳、伊藤沙莉、戸田真琴、千葉雅也、佐々木敦、森直人、矢田部吉彦、大高健志、高田聡

Youtubeで本編の一部を公開中

「寝ても覚めても」(2018)

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され「日本映画の新しい波!」と海外メディアが絶賛。同じ顔をした二人の男と、その間で揺れ動く女の8年間を丁寧に、そしてスリリングに描く商業デビュー作。

監督:濱口竜介 脚本:田中幸子/濱口竜介
出演:東出昌大、唐田えりか 、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知(黒猫チェルシー)/仲本工事/田中美佐子
原作:「寝ても覚めても」柴崎友香(河出書房新社刊)音楽:tofubeats 主題歌:tofubeats「RIVER」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)

「不気味なものの肌に触れる」(2013)TV初未ソフト化

父の死をきっかけに、腹違いの兄と共に住むこととなった青年を取り巻く人間関係に潜む秘密と、不穏な空気を描き出す。
染谷将太、石田法嗣の異様な空気感のダンスシーンが印象的な傑作中編。

監督 : 濱口竜介/脚本 : 高橋知由
出演:染谷将太、渋川清彦、石田法嗣、瀬戸夏実、村上淳、河井青葉、水越朝弓

「PASSION」(2008)

等身大の20代男女が、夜の横浜を舞台に繰り広げる軽佻浮薄な恋愛模様を、繊細かつ辛辣な台詞の応酬で描き切り、濱口竜介の名を世界に知らしめた記念碑的作品。

監督・脚本:濱口竜介
出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦

「THE DEPTHS」(2011)TV初未ソフト化

東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーの合作。フィルムノワールの空気感を持たせつつ、カメラマンと男娼の関係性の変化を繊細に描いた作品。

監督:濱口竜介 / 脚本:濱口竜介、大浦光太
出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ、米村亮太朗、村上淳 ほか

「親密さ」(2012)未ソフト化

新作舞台『親密さ』を共同演出する一組のカップルの関係性がギクシャクしていく様を描く前編と、実際の舞台の上演を記録した後編の2部構成。
ENBUゼミナール映像俳優コースの卒業制作として作られた、4時間を超える渾身の一作。

監督・脚本:濱口竜介
出演:平野鈴、佐藤亮、田山幹雄、伊藤綾子、手塚加奈子

「ハッピーアワー」(2015)

30代後半を迎えた4人の女性たちが直面するそれぞれの人生の岐路。どこにでもいる"普通"の女性たちが抱える不安や悩みを、緊張感溢れる5 時間超えのドラマとして見事に描く。
主演4人は演技未経験ながらロカルノ国際映画祭最優秀女優賞に輝くなど国内外で数々の賞を受賞。

監督:濱口竜介/脚本:はたのこうぼう(濱口竜介、野原位、高橋知由)
出演:田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら

「うたうひと」(2013)TV初未ソフト化

東北地方で語り継がれてきた民話に焦点を絞り、語り手と聞き手の二人三脚で生み出される民話語りの風景を映し出すドキュメンタリー作品。

監督:濱口竜介、酒井耕
出演:伊藤正子、佐々木健、佐藤玲子、小野和子(みやぎ民話の会)

スカパー! スカパー!
「きみの鳥はうたえる」©HAKODATE CINEMA IRIS、「ワイルドツアー」©Yamaguchi Center for Arts and Media [YCAM]、「密使と番人」©時代劇専門チャンネル・日本映画専門チャンネル、
「THE COCKPIT」©Aichi Arts Center, MIYAKE Sho、「Playback」©2012 Decade,Pigdom、「やくたたず」©MIYAKE Sho、「愛がなんだ」©2019映画「愛がなんだ」製作委員会、
「パンとバスと2度目のハツコイ」©2017「パンとバスと2度目のハツコイ」製作委員会、「退屈な日々にさようならを」©ENBUゼミナール、
「知らない、ふたり」©2015 NIKKATSU, So-net Entertainment, Ariola Japan、「サッドティー」©ENBUゼミナール、「こっぴどい猫」©DUDES、
「たまの映画」©2010 パル企画/NSW、「nico」©2012 COJIKACAKE FILMS / MOOSIC LAB、
「his ~恋するつもりなんてなかった~」©2019 メ~テレ、「寝ても覚めても」©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS、
「不気味なものの肌に触れる」©LOAD SHOW, fictive、「PASSION」©東京藝術大学大学院映像研究科、「THE DEPTHS」©東京芸術大学大学院映像研究科&韓国国立映画アカデミー、「親密さ」©ENBUゼミナール、
「ハッピーアワー」© 2015 KWCP、「うたうひと」©silent voice
特集上映に寄せて

このたび日本映画専門チャンネル「いま、映画作家たちは 2020」という特集で過去の監督作品を、多くの方にお届けする機会をいただいたことをとてもありがたく思っています。また、今泉監督や三宅監督とともに、という点も非常に光栄に思っています。

こうした機会にはまず、カメラの前に立ってくれたすべての方たちにお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。ただ、あらゆるリスクにもかかわらずカメラの前に立ってくれた人たちに対しては結局、どのような感謝の言葉でも足りません。その人たちに具わった魅力をできうる限りカメラで捉えることでしか、報いることはできないとも常々思っています。

今回、「映画を取り巻く環境が変化していく中で、今後映画の作り手としてどんな映画を撮るべきなのか、映画はどうあるべきなのか。2020年という節目を迎える年にどんなことを感じられるのか。」という質問をいただきました。恥ずかしながら、何も考えてはいません。映画というのは「いつか、どこかで、誰かが見る」ものとしか考えていません。いつどこで誰が、どんな風に映画を見ようとも、それは私の関心事ではないのです。私の課題はたった一つで、ある人が自身の魅力をあらわにするその瞬間にカメラを間に合わせる、ということです。それさえ記録されていれば、映画がいつか、どこかの誰かに届くこともあるでしょう。しかし...それが一番難しい。カメラは出来事に遅れをとる。その遅れはほとんど宿命的で、いつまでも完全になくせはしないものです。ただ、だからこそ死ぬまで続けられる仕事とも考えています。これからも試行錯誤しながら、淡々と映画を作っていきたいと思います。

最後になりましたが、カメラの前に立つ人々の困難を理解して彼・彼女らをサポートをしてくれた、カメラの後ろの人々(共同監督・スタッフ・プロデューサーたち)にも限りない感謝を。この機会に映画が、どこかの誰かに届きますよう。

濱口竜介
特集上映に寄せて

2020年。自分がこんなに多作の監督になっているなんて想像もしていなかったし、それがいいことだとも悪いことだとも思っていません。ただ、映画『街の上で』に代表されるような、定期的に自分をリセットできるオリジナル脚本の映画もつくれているし、一方、原作ものもきちんと選んで、「ザ・お仕事」みたいな感覚でやったことは一度もないので、これからもしばらくはこういうペースで映画をつくっていくのかなと思っています。

今回、ともに特集される、濱口竜介、三宅唱をはじめ、深田晃司、真利子哲也、山戸結希、二ノ宮隆太郎、山中瑶子、内藤瑛亮、石井裕也、ヤング・ポール、ちょっと上の世代も挙げさせていただくなら、吉田恵輔、山下敦弘、冨永昌敬、沖田修一、横浜聡子、石川慶、入江悠など、海外はじめ国内でも評価され、映画作家としての個性があり、またその作品がおもしろい監督たちが同時代にいることはとても励みになります。それこそ、これらの世代の始まりに熊切和嘉という監督がいて、フィルムからデジタルに移行して、などなど、様々な要素があって複合的に生まれたのが今の日本映画の現状だとは思うのですが、今いる様々な監督の存在や映画に影響を受けた映画監督がまた生まれて、へんてこな映画をつくっていくんだろうな、なんて思っています。

上に挙げた17人の監督以外にも好きな監督がたくさんいます。それに比べたら自分の映画なんてと思ってしまうことも多々あります。でも、今、映画をつくらせてもらっていることに感謝しつつ、もっともっと映画自体もですが、映画をつくる環境などについても想いを馳せて、映画に貢献できたらなと思っています。

映画をつくることは大変だし、映画をつくらずにはいられない、みたいなタイプではないのですが、これからもだらしなく映画をつくっていければと思っています。

自分にしかつくれない映画があると信じて。

今泉力哉
特集上映に寄せて

早朝の散歩や真昼の銭湯の快感には勝てないかもしれないが、誰かと茶でもしながらだらだら最新の映画の話をする時間もだいぶ楽しい、ということを最近改めて思う。『フォードVSフェラーリ』の試乗する社長、『リチャード・ジュエル』のドーナッツ、大統領シャリーズ・セロン、親分ジェイロー、などなど。同世代の同業者と会うことは滅多にないが、もし会っても情報交換か世相の話ばかりだった気がする。それはそれとして「最近なに観ました?」と振ってみるのもいいかもしれない。ちょっと緊張するけど。ちなみに今僕がもっとも誰かと話したい映画は『春を告げる町』と、本だけど『U.S.ムービー・ホットサンド』。これからどういう時代になるのか、どういう映画が面白いのか、わからないけれど、映画観て、誰かと駄弁り、話し飽きたときには自然と自分の手も動くだろう、今までもそうだったし、と。自分に限って言えば今後もきっとそんな感じと思います。

三宅唱