4ヶ月連続 いま、映画作家たちは2020-2021 2月・3月 映像制作集団 空族4ヶ月連続 いま、映画作家たちは2020-2021 2月・3月 映像制作集団 空族

映画の在り方は変わりつつある。いまやテレビでもパソコンでも、スマホでだって映画は観ることができる。

そんな時代のなかで、映画に向き合い、映画を作り続ける「映画作家」たちがいる。
これが映画だ、こんな映画が観たかったんだ、と思わせてくれる「映画作家」たちがいる。
未だ彼らの映画に出会ってこなかった人たちへ、
劇場で観ることがかなわなかった人たちへ、
そして、心震えたあのシーンをもう一度観たい人たちへ―

2月・3月は「サウダーヂ」「バンコクナイツ」など唯一無二の作品を手掛ける映像制作集団「空族」を特集。
配給、宣伝も自ら行ない、作品は全て未ソフト化という独自路線をひた走る
彼らの作品はもちろん全てがTV初放送。この機会に是非お楽しみください。

        
空族空族

映像制作集団。2004年、"作りたい映画を勝手に作り、勝手に上映する"をモットーに、『空族』を名のりはじめる。
常識にとらわれない、毎回長期間に及ぶ独特の映画制作スタイル。
作品ごとに合わせた配給、宣伝も自ら行ない、作品はすべて未ソフト化という独自路線をひた走る。
テーマは日本に留まらず、広くアジアを見据えている。空族からのメッセージ

富田克也
富田克也 Katsuya Tomita

1972年山梨県生まれ。脚本家・映画監督の相澤虎之助らとともに映像制作集団・空族(くぞく)を立ち上げ、「作りたい映画を勝手に作り、勝手に上映する」をモットーに活動。代表作に郊外都市の荒んだ若者を描いた『国道20号線』(07)、寂れゆく日本経済を背景に、肉体労働者、移民、そしてヒップホップで奏でる『サウダーヂ』(11)。またタイおよびラオスにて長期滞在制作を行った『バンコクナイツ』(16)では、20世紀のインドシナ半島での戦争の傷跡をトレースしつつ、複層的な物語構成によって、東南アジアから現代日本を逆照射した。

相澤虎之助
相澤虎之助 Toranosuke Aizawa

1974年埼玉県生まれ。早稲田大学シネマ研究会を経て空族に参加。『国道20号線』(07)『サウダーヂ』(11)『チェンライの娘』(12)『バンコクナイツ』(16)『典座-TENZO-』(19)など富田克也監督作品の共同脚本を務めている。監督作に、『バビロン2 -THE OZAWA-』(12)など。瀬々敬久監督と共同脚本を務めた『菊とギロチン』(18)で、キネマ旬報ベスト・テン日本映画脚本賞を受賞。

スカパー! スカパー!
3月放送作品

「チェンライの娘」(2012)TV初

オムニバス作品『同じ星の下、それぞれの夜』の中の一編。『バンコクナイツ』のプロトタイプともいえる、タイを舞台にした日本人と娼婦たちが織り成す珍道中。

監督:富田克也/脚本:相澤虎之助、富田克也
撮影:高野貴子/録音・整音・音響効果:山﨑巌/助監督:河上健太郎/編集:高野貴子・富田克也/制作:岩井秀世
出演:川瀬陽太、AI、スシットラーポン・ヌッチリ、クリサナー・オビ、菅野太郎、レイザーラモンRG

「バンコクナイツ」(2016)TV初未ソフト化

タイ、バンコク。日本人専門の歓楽街"タニヤ通り"を舞台にした、娼婦と客、男と女のドラマ。娼婦たちが彩る"楽園"の真実とは?そして舞台はバンコクからイサーン地方、そしてラオスへ―。日本人にとって未知の土地でありながら郷愁を誘う風景、そして構想10年・タイ、ラオスオールロケという異様なまでのスケールで作られた、日本映画の枠さえ飛び越えたアジア映画の新たな地平。

監督:富田克也/脚本:相澤虎之助、富田克也
撮影・照明:スタジオ石 (向山正洋、古屋卓麿)/録音:山﨑巌、YOUNG-G DJs:SOI48、YOUNG-G /ライン・プロデユーサー:長瀬伸輔/助監督:河上健太郎
ヘアメイク・衣裳:ピーヤー・ニヨム、ナンナパッ ト・ワッタナージャランポン/スチール:山口貴裕/コ・プロデューサー:大野敦子、筒井龍平、フィリップ・アヴリル、アピチャ・サランチョン、ドゥアンメニー・ソリパナン、マチエ・ドゥー/アソシエイト・プロデューサー:小山内照太郎
出演:スベンジャ・ポンコン、スナン・プーウィセット、チュティパー・ポンピアン、タンヤラット・コンプー、サリンヤー・ヨンサワット、伊藤仁、川瀬陽太

「典座 ―TENZO―」(2019)TV初未ソフト化

空族×全国曹洞宗青年会―地方都市や貧困、持たざる者の姿を描いてきた空族が次に挑んだのは、"仏教"だった。信仰が失われた時代において、仏教とは必要なのか?信仰とは必要なのか?という問いに向かい合う、空族最新作。そして映画はフィクションとドキュメンタリーの枠を超え、驚くべき境地へとすすんでいく。

監督:富田克也/脚本:相澤虎之助、富田克也
撮影・照明:スタジオ石/録音・整音:山﨑巌/編集:富田克也、古屋卓麿/音楽:右左口竹の会、Suri Yamuhi And The Babylon Band、NORIKIYO 題字:藤田喜彦
デザイン:今村寛/スチール:山口貴裕/VFX:定岡雅人
出演:河口智賢、近藤真弘、倉島隆行、青山俊董

スカパー! スカパー!
3月リピート作品
空族に迫る特別番組も放送!

「いま、映画作家たちは2020-2021 空族にまつわるいくつかのこと」(2021)

俳優、評論家、ミュージシャン、文化人たちへのインタビューを通じて深田晃司、真利子哲也、空族...日本映画の未来を担う映画作家たちの"いま"に迫るオリジナル番組。
『サウダーヂ』や『バンコクナイツ』などを手掛ける、日本映画界の独立愚連隊・空族に迫る。

出演:渋川清彦、川瀬陽太、樋口泰人、伊賀大介、佐々木敦、鈴木みのり、大高健志

「雲の上」(2003)未ソフト化

刑務所から出所した寺の跡取り息子・チケンと、幼馴染のやくざ・シラス。足を洗いたくても洗えないシラスを助けようとするチケンは、危険な道に巻き込まれてゆく―。中上健次や柳町光男の世界観を髣髴とさせるような、ドロドロと絡みつく「土地」の力を映し出すような、富田監督の処女作。

監督・編集:富田克也/脚本:富田克也、高野貴子、井川拓/撮影:高野貴子/助監督:西川朝子/録音:吉森展土/美術・小道具:川口明子
出演:西村正秀、鷹野毅、荒木海香、相澤虎之助、古屋暁美

「国道20号線」(2007)未ソフト化

パチンコ・シンナー・借金漬けの日々を送る元暴走族のヒサシ。そんなヒサシに族時代からの友人で闇金屋の小澤が話を持ちかける―。
地方都市を走る国道。両脇を埋めるカラオケBOX、パチンコ店、消費者金融のATM、ドンキ・・・どこにでもある"地方都市"の狂気を叩きつけられる衝撃作。

監督・共同脚本:富田克也/撮影・共同脚本:相澤虎之助
撮影:高野貴子/録音:石原寛郎/美術・小道具・スクリプト:川口明子/サウンドミキシング:山崎巌/スチール:堀田真由子
出演:伊藤仁、りみ、鷹野毅、村田進二、西村正秀、田中哲也、平沢絵里子、渡邊利己、藤沢一雅、久保田正仁、久保田公男、松本茂、中込明彦、松本寿徳、近藤寛、古屋暁美、中盾純、池田記代子、山下雄也

「サウダーヂ」(2011)未ソフト化

土方、移民、HIP HOP-どん詰まりの地方都市の中で暮らす外国人労働者や肉体労働者たちの姿、かつて "アジアNO1の経済大国"とさえ呼ばれた日本の地方都市の現状を生々しく描き、空族の名前を一躍轟かせた代表作。

監督:富田克也/脚本:相澤虎之助、富田克也/撮影:高野貴子/録音・音響効果:山﨑巌/助監督:河上健太郎/編集:富田克也、高野貴子/スチール:廣瀬育子
出演:鷹野毅、伊藤仁、田我流、ディーチャイ・パウイーナ、尾﨑愛、工藤千枝、デニス・オリヴェイラ・デ・ハマツ、イエダ・デ・アルメイダ・ハマツ、野口雄介、中島朋人、亜矢乃、川瀬陽太

スカパー! スカパー!
「チェンライの娘」©「同じ星の下、それぞれの夜」製作委員会、「バンコクナイツ」©Bangkok Nites Partners 2016、「典座 ―TENZO―」©空族、
「いま、映画作家たちは2020-2021 空族にまつわるいくつかのこと」Photo by Takahiro Yamaguchi、「雲の上」©空族、「国道20号線」©空族、「サウダーヂ」©空族
 わたしたちが空族と名乗り映画を作るようになって20年が経とうとしています。当時はまだ、映画はフィルムで撮られるべきもので、ビデオの画質は映画に耐えうるものではありませんでした。当然、それまでわたしたちが観てきた映画はすべてフィルムで撮影されたものばかりでした。そんなわたしたちが映画を作りたいと当時選んだのは8ミリフィルムでしたが、それは資金力のないわたしたちの手に届くのが8ミリフィルムしかなかったということでもありました。もちろんビデオという選択肢もありましたがそれはわたしたちにとって映画ではありませんでした。とはいえ、8ミリ映画が劇場公開されるということもまたあり得ません。それでも作りたかったのが『雲の上』(2003)という作品です。つまり『雲の上』は劇場公開されていない初期作品ということになります。
 時代はデジタル化を推し進めます。カメラなどの機材もデジタルが登場、劇場にもビデオプロジェクターが設置されはじめますが、空族はその流れにあらがうように、『国道20号線』(2007)を16ミリフィルムで撮影します。そして『サウダーヂ』(2011)を35ミリフィルムで完成させる頃には、世の中からフィルムというものが消えようとしていました。気が付けばわたしたちは自らの作品のソフト化も拒んできましたが、これはいうまでもなく、レンタルビデオ時代にあらがう態度でした。つまり、これまでの空族にとって映画とは、フィルムであり、劇場で観るべきものだったのです。しかし時は更に大きく進みました。『バンコクナイツ』(2016)、『典座 -TENZO-』(2019)は最初から最後までデジタルビデオで完成させたものです。そして、これまで劇場を守ろうとソフト化を拒み続けてきたわたしたちが、作品の放送に踏み切ったというのはもちろん、コロナウィルスの世界に与えた影響の大きさというのがあります。そして、このことはわたしたち自らにとってもひとつの大きな区切りにもなりました。いずれにせよ、わたしたちの作品が、これまでにない規模でたくさんの観客の目に触れる機会になることを望みます。そして、その機会を与えてくださった日本映画専門チャンネルに心から感謝致します。