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枝裕和監督
1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後テレビマンユニオンに参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。95年、初監督映画『幻の光』が、ヴェネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。以降、『誰も知らない』(04年)、『そして父になる』(13年)、『海街diary』(15年)で国内外から高く評価され、『三度目の殺人』(17年)は日本アカデミー賞6冠に輝く。最新作「万引き家族」(第71回カンヌ国際映画祭 最高賞 パルムドール受賞)は、6/8(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。
田和弘監督
1970年栃木県生まれ。東京大学文学部卒。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。93年からニューヨーク在住。台本やナレーション、BGM等を排した、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』(07年)、『精神』(08年)、『Peace』(10年)、『演劇1』(12年)、『演劇2』(12年)、『選挙2』(13年)、『牡蠣工場』(15年)、『港町』(18年)があり、国際映画祭での受賞多数。著書に『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』『精神病とモザイク』など。最新作「ザ・ビッグハウス」は、6/9(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
第一夜 ー是枝裕和の場合ー

是枝裕和×想田和弘 ドキュメンタリーを考える 第一夜

是枝裕和監督と想田和弘監督がドキュメンタリーについて語るオリジナル対談番組。

  • 是枝裕和×想田和弘 ドキュメンタリーを考える 第一夜
  • 2018年 出演:是枝裕和/想田和弘

    • オリジナル番組
    • TV初

    6月8日(金)に最新作「万引き家族」が公開を控える是枝裕和監督と、同じく6月9日(土)に最新作「ザ・ビッグハウス」の公開を控える、自ら“観察映画”と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践する想田和弘監督という、世界的に高い評価を獲得する二人の映画作家が初対談。ドキュメンタリーについて、そして互いの作品について大いに語り合う、オリジナル対談番組の第一夜。

しかし… 福祉切り捨ての時代に

是枝監督演出の、ギャラクシー賞優秀作品賞受賞作。

  • しかし… 福祉切り捨ての時代に
  • 1991年 監督・プロデューサー・構成:是枝裕和

    • ギャラクシー賞優秀作品賞受賞

    フジテレビ系列の長寿ドキュメンタリー番組「NONFIX」の1本。ギャラクシー賞優秀作品賞受賞。水俣病和解訴訟の国側の責任者だった環境庁のエリート官僚が自殺した。山内豊徳53歳。長年にわたり福祉行政に取り組んできた彼が、なぜ自ら死を選んだのか? 現実社会に押し流されていく時代の中で、もがき苦しんだ一人の官僚の生と死の軌跡を辿る。

もう一つの教育~伊那小学校春組の記録~

是枝監督演出の、ATP(全日本テレビ番組製作社連盟)賞優秀賞受賞作。

  • もう一つの教育~伊那小学校春組の記録~
  • 1991年 監督・プロデューサー・取材・構成:是枝裕和

    • ATP賞優秀賞受賞

    是枝裕和が演出を担当したフジテレビ系列の長寿ドキュメンタリー番組「NONFIX」の1本。優れた番組に贈られるATP(全日本テレビ番組製作社連盟)賞優秀賞受賞。教科書を使わない総合学習に取り組んでいる長野県伊那小学校の3年春組の子供たちと、仔牛のローラの3年間の成長記録を綴る。ほぼ全編にわたって監督自身が撮影したホームビデオの映像で構成されている。

彼のいない八月が

是枝監督演出の、ギャラクシー選奨受賞作。

  • 彼のいない八月が
  • 1994年 監督:是枝裕和

    • ギャラクシー選奨受賞

    日本で初めて性交渉によるエイズ感染を公表した平田豊さんの生活記録。闘病記録ではなく、等身大の一人の人間としての孤独や弱さにスポットがあてられている。 ホームビデオを多用し、取材者と被取材者の共有した時間を描いた私小説的ドキュメンタリー。ギャラクシー選奨受賞。

メイキング・オブ・「万引き家族」

  • メイキング・オブ・「万引き家族」
  • 2018年 出演:リリー・フランキー/安藤サクラ/松岡茉優/池松壮亮 ほか

    第71回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドールを受賞した、映画「万引き家族」のメイキング映像をお届け。

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第二夜 ー想田和弘の場合ー

是枝裕和×想田和弘 ドキュメンタリーを考える 第二夜

是枝裕和監督と想田和弘監督がドキュメンタリーについて語るオリジナル対談番組。

  • 是枝裕和×想田和弘 ドキュメンタリーを考える 第二夜
  • 2018年 出演:是枝裕和/想田和弘

    • オリジナル番組
    • TV初

    6月8日(金)に最新作「万引き家族」が公開を控える是枝裕和監督と、同じく6月9日(土)に最新作「ザ・ビッグハウス」の公開を控える、自ら“観察映画”と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践する想田和弘監督という、世界的に高い評価を獲得する二人の映画作家が初対談。ドキュメンタリーについて、そして互いの作品について大いに語り合う、オリジナル対談番組の第二夜。

選挙

想田和弘監督が、独特のしきたりを持つ日本の選挙を「観察」という視点で追い続ける。

  • 選挙
  • 2007年 監督・撮影・編集:想田和弘

    • ピーボディ賞受賞、ベオグラード・ドキュメンタリー映画祭グランプリ受賞

    補欠選挙に出馬することになった男性の選挙活動を追うドキュメンタリー。NY在住の映像作家、想田和弘による“観察映画”第一弾。アメリカでのピーポディ賞受賞をはじめ国内外で大きな反響を呼んだ。東京で切手コイン商を営む山内和彦さんは、成りゆきで自民党候補となり、川崎で選挙活動を始めることに。諸先輩方の指導を仰ぎながら、山内さんは“どぶ板選挙”を戦い抜く。その姿から苛烈であり滑稽でもある日本の選挙が見える。

選挙2

ナレーションやテロップを排した“観察映画”として好評を得た前作「選挙」の続編。

  • 選挙
  • 2013年 監督・製作・撮影・編集:想田和弘

    • ドバイ国際映画祭、香港国際映画祭正式招待
    • TV初

    ナレーションやテロップを排した“観察映画”として好評を得た前作「選挙」の続編。前作では自民党の公認候補として出馬した山さんこと山内和彦が、今度は2011年4月の川崎市議会選挙に無所属で立候補。原発問題を取り上げようとしない他の候補者たちに強い怒りを感じた山さんは、前回の選挙とは打って変わり、選挙カーも事務所もタスキも握手も封印。何もない状態で選挙戦を戦っていく。

想田和弘劇映画短編集<未ソフト化>

想田和弘監督が、1995年から1997年にかけてアメリカで制作した未ソフト化の短編劇映画3作品を放送。


花と女

  • 花と女
  • 1995年・カラー 脚本・監督・編集:想田和弘
    製作:エイドリアン・ゴイコリア
    撮影:リズ・ストランドット
    出演:カリン・ボトムレー/エマニュエル・セッチ

    • カナダ国際映画祭特別賞受賞

    ある女性が植物の種を鉢に植える。日当たりの良い場所に置かれ、 水を与えられ、移ろい行く日々の中で植物は次第に成長し花開いていくが……。カナダ国際映画祭で特別賞受賞。


ニューヨークの夜

  • ニューヨークの夜
  • 1995年・カラー 脚本・監督・編集:想田和弘
    製作:ジョン・シモネタ
    撮影:ルーク・チェン
    出演:マサヤス・ナカニシ/オービル・マクカーター/柏木規与子ほか

    • ハワイ映画祭正式招待

    深夜のニューヨーク。日本のサラリーマンがピザ屋へ入り、 目撃したものは……?フランダース映画祭(ベルギー)、ウメオ映画祭(スウェーデン) 、ハワイ映画祭(アメリカ)などに正式招待。


ザ・フリッカー

  • ザ・フリッカー
  • 1997年・モノクロ/カラー 脚本・監督・製作・編集:想田和弘
    撮影:ルーク・チェン
    製作:ジョン・シモネタ
    出演:ジェームズ・クアランタ/スティーブ・コルサノ/柏木規与子ほか

    • ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞ノミネート

    想田監督のスクール・オブ・ビジュアル・アーツの映画学科卒業制作でもあり、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(1997年)にもノミネートされた1作。写真家のジェームズはある日、ニューヨークの寂しい通りで謎めいた盲目の男に出会う。ジェームズは何かに憑かれたように男の顔へレンズを向け、シャッターを繰り返し切るが……。


祝!カンヌ国際映画祭パルムドール受賞 映画監督・是枝裕和

ワンダフルライフ<デジタルリマスター版>

人が死んでから天国に行くまでの7日間を描いたユニークなドラマ。

  • ワンダフルライフ
  • 1998年 監督・脚本:是枝裕和
    出演:ARATA/小田エリカ/寺島進/内藤剛志/谷啓/伊勢谷友介/由利徹/香川京子

    是枝裕和監督の第2作目。人が死んでから天国に行くまでの7日間を描いたユニークなドラマ。モデルのARATAの俳優デビュー作。22人の男女が、霧に包まれた古い建物にたどり着いた。彼らは面接室に案内され、職員から「あなたは昨日、お亡くなりになりました。ここにいる間に大切な思い出をひとつ選んでください」と告げられる。職員の望月(ARATA)、川嶋(寺島)、杉江(内藤剛志)、しおり(小田)たちは、死者から思い出を聞き出し、撮影の準備を進めていく。そんな中、望月が担当する死者のひとり・渡辺(内藤武敏)は、「自分が生きた証がわかるような出来事を選びたい」と、思い出を選べずにいた……。

誰も知らない<デジタルリマスター版>

“誰も知らない”子どもたちをただ静かに見つめる、ドキュメンタリー・タッチの作品。

  • 誰も知らない
  • 2004年 監督・脚本:是枝裕和
    出演:柳楽優弥/YOU/北浦愛/木村飛影/清水萌々子/韓英恵

    1988年に東京で起きた子ども置き去り事件をモチーフに、是枝監督がドキュメンタリー風に描いたドラマ。柳楽優弥が2004年度カンヌ国際映画祭において史上最年少で主演男優賞を獲得し大きな話題となった。母・けい子(YOU)と都内のアパートで暮らす4人の兄妹たち。彼らの父親はみな別々で、学校にも通ったことがなく、長男・明(柳楽)以外の3人の姉弟の存在は大家にも知らされていなかった。ある日、母親はわずかな現金と短いメモを残し、明に姉弟の世話を託して家を出る。この日から、誰にも知られることのない4人の子供たちだけの"漂流生活"が始まる……。

DISTANCE

第54回カンヌ映画祭コンペティション部門正式出品された社会派作品

  • DISTANCE
  • 2001年 監督・脚本:是枝裕和
    出演:伊勢谷友介/ARATA/寺島進/夏川結衣/浅野忠信/りょう/遠藤憲一/中村梅雀

    第54回カンヌ映画祭コンペティション部門正式出品ほか、順次ヨーロッパで公開された。オウム真理教事件を連想させる大惨事を背景に、宗教をめぐり"ある一線を越えてしまった"者と、"こちら側にとどまった者"との埋めがたい心の距離を、殺人事件の加害者家族を中心に描く。夏の日に山あいの小さな湖に向かう4人の男女(ARATA、伊勢谷、寺島、夏川結衣)。彼らは3年前に世間を騒がせたカルト教団による殺人事件の加害者遺族たちだった。年に一度だけ集まり、遺灰が瞑るその湖に手を合わせるのだが、その年、あるアクシデントから元信者だったという男(浅野)とともに、かつて実行犯たちが最後の時を過ごした山荘で一夜を過ごすことになる。

是枝裕和×想田和弘 スペシャルインタビュー
  • 01 | ドキュメンタリーと劇映画

是枝:想田さんは元々、劇映画から入ったんだよね?

想田:ドキュメンタリーには全然興味がなくて、劇映画の勉強をしにニューヨークへ行ったんです。その頃に是枝監督の『幻の光』がニューヨークで『MABOROSI』っていう題名で公開されて、すごく話題になっていました。その後に『AFTER LIFE』(『ワンダフルライフ』)が上映されて。『幻の光』を拝見した時は、是枝さんのバックグラウンドがテレビのドキュメンタリーだと聞いて、ちょっと意外な感じがしたんですけれど、『ワンダフルライフ』の時には、得心がいったんですよね。

是枝:『ワンダフルライフ』が初めてのオリジナル作品だったので、自分のテレビでの経験をどういうふうに劇映画という方法の中で活かせるかを考えて作ったんです。いまだにテレビには育ててもらった恩もあるし、愛もあるんだけど、とりあえず腰掛けでしばらくの間テレビをやって、直ぐに映画に戻ろうと思っていたんだよね。だから、『幻の光』をやった時は、自分のDNAに刻まれたテレビに対するある種の嫌悪みたいなものからスタートしているような気がする。だから、今見るとちょっと窮屈だなって感じはしますけど。そのへんを自由に解放して作ったのが『ワンダフルライフ』。

想田:ドキュメンタリーと劇映画ということで言うと、今でもドキュメンタリー的手法を――例えば『万引き家族』ではお使いになられていますか?

是枝:それが難しいんだよね。ドキュメンタリー的手法をどう捉えているかって、作り手それぞれによって違うじゃない?僕は役者が演じている時に文字として書かれた台詞が浮かんでくるのがすごく嫌だったから、どうしたらその言葉が自分の中から出てきたように聞こえるかっていうことを、いろいろ試行錯誤しつつ撮っているつもりではいるんだけど。子どもを演出するときには、耳元でこういう風に言ってごらんと言って、その子の言葉で言ってもらうみたいなやり方をしていると、その子の個性に乗っかったなという、ある種の後ろめたさが消えないわけ。

想田:ああ、そうですか。

是枝:劇映画だけど、映ってる対象に対して何となく責任を感じてくる。殺人犯を演じている役所広司さんがどんなに酷い殺人犯でも、観ている人は役所広司という一人の人間とは切り離して観てくれるという前提で作ってる。それが僕のようなやり方をしていると、映っている子どもと役柄は、観ている人はともかく、演っている側が不可分になってくるところがあるんだよね、特に男の子の場合は。そのことに対する撮り手の責任ということを考え始めると、劇映画とドキュメンタリーの境界というのは、僕の中では曖昧になってきてしまって、どうやってそれを自分の中で倫理観としてジャッジをするべきなのか。どこまで引き受けられるものなのか、ずっと悩んでる。

想田:実際、ドキュメンタリーとフィクションの違いって、そうとう曖昧ですよね。ここからがフィクションで、ここからがドキュメンタリーというふうには分けられなくて、すごく地続きというかグラデーションなんだろうと思うんですけど。しかも、作品の中でもフィクション性が濃い場面もあれば、ドキュメンタリー性が濃い場面もあるという感じで、瞬間瞬間でそれが移動するんじゃないかって感じがしますよね。

  • 02 | ドキュメンタリーと被写体

是枝:想田さんの『精神』で、子どもを死なせてしまったお母さんの独白があるじゃない。それから『港町』で子どもを盗られたというおばあちゃんが高台に想田さんを連れてって話をするじゃない。ああいうのは、何で撮れちゃうの?

想田:不思議ですよね。

是枝:何だと思う? 人柄じゃないでしょ(笑)。

想田:それこそ後ろめたさみたいなものが、そういうところにあるんですよ。聞いてしまったという。やっぱり迷うんですよ。それを出すことによって、被写体になってくれた人たちを傷つけるんじゃないかとか、意識にギャップがあるんじゃないかとか。僕は作り手ですから、映像の怖さとか、それを映画にするということがどういうことか一応よく分かっているわけですよね。でも撮られる方の人は、「これはドキュメンタリーですよ。映画になりますよ」っていうことは分かっているけれども、それが実際にどういうことを意味するのかっていうことをまだ体験されていないわけですから、体では理解していないところがあると思うんですよね。その情報のギャップみたいなものが、作り手と被写体の間に必ずあって、そのギャップのせいでああいう場面が撮れてしまうんじゃないかっていうことはあるんですよ。

是枝:騙してるわけじゃないけどね。

想田:騙してるわけじゃないけど、そのギャップのせいで撮れてしまったものが、シーンとしてはすごく強かったりするので。そこでいつもジレンマを感じるんですけどね。

是枝:ちょっと突っ込んだ話をすると、そういうものが始まりそうだなという感覚は分かりますか?『港町』のおばあちゃんは、何か話そうとしているなというところからもう想田さんは分かってるなと思って観ていたけど。それで言うと、『精神』で女性が部屋の中で話し始める前に、珍しくインサートカットが3つ続くんだよ。この3カットは何だろう? ディレクターの戸惑いなんだろうかと思って。普段の想田さんが時々入れられる実景のリズムや意味合いとは、あそこの3カットは明らかにちょっと違うなと思ったんだよ。

想田:ああ、鋭いですね。あの3カットを入れたのは、編集の時の考えで入れてます。これからちょっと大事な話が始まるよということを、観客に予期してもらうというか。僕は実際、あの話を聞いた時にすごく動揺してるんですよ。もちろん、映画作家としては、すごいものが撮れていると高揚する気分もあるし、だけど高揚していいんだろうかとか、それに対する罪の意識とか。しかも、この撮影を失敗したくないという気持ちもある。

是枝:そういう過去を背負っているという人だという事前情報は想田さんには入ってない?

想田:僕は撮影前にリサーチをしないポリシーなので、全く知らなかったです。彼女の話を聞いて観客もきっと驚くと思うんですが、僕も同じ様に話を聞きながら驚いているんです。ドキュメンタリー的にはその方が良いのかなと思っています。僕がNHKの番組を作っていた時には事前に話を聞きに行っていたんですが、そうするとそこで面白い話が出ちゃうことが多い。すると、この面白い話をカメラの前でどうやってまた言ってもらおうと考えるじゃないですか。それでいろいろ誘導尋問みたいな形になっちゃうんですけど、それによって撮れたものって新鮮味が二段階も三段階も失われちゃうんですよね。

  • 03 | ドキュメンタリーとお金

想田:ドキュメンタリーとお金、これはあまり話したくない(笑)。

是枝:想田さんの新作の『ザ・ビッグハウス』って、どこがお金出してるの?

想田:ミシガン大学の授業の一環で作ったんですよ。お金を誰が出したかというと、ミシガン大学になりますね。だから、僕の観察映画としては例外的で。今回放映される是枝さんの3本のテレビドキュメンタリーは、テレビ局とはどういう契約なんですか?

是枝:この3本は全部フジテレビの「NONFIX」で作った番組ですね。

想田:それを再放送したり、特集で上映できたりできるのは、権利を是枝さんがコントロールされているということなんですか?

是枝:今の状況はちょっと分からないけど、当時の「NONFIX」は契約が映画と同じで、放送局に2年間放送権譲渡。それで2年が過ぎたら権利が一旦制作会社側に戻ってくる。非常に作り手に有利な契約だった。放送のための予算はテレビ局が出すが、著作権は制作会社に帰属するというね。僕が作っていた当時は90年代の頭ですから、ドキュメンタリーの二次利用、三次利用なんて誰も考えなかったから。今は二次利用、三次利用が儲かると分かってしまったから、あえて言いますが、放送局が制作会社に権利なんか渡してなるものかっていうことで、ほぼ局に権利は残る契約しか結んでもらえない。企画の発意から制作の実体から全部が制作会社にあっても、今、制作会社は制作協力ぐらいでしかクレジットできないし、権利なんか一切残らない。そういう場からいろんなミスが起きたり、トラブルが起きてるわけ。なぜかと言うと、現場で働いている人間がその番組に何の権利も持てないわけですよ。僕は権利がないところに責任は生まれないと思うから。

想田:おっしゃる通りですね。

是枝:今、放送の現場は劣化してると言われているけど、それはやっぱり番組の権利を持たずに安く使われて、自分の番組だと思えなくなっているんだよね。どうしてもお金を出した人が偉いっていう発想が、日本の映画業界、テレビ業界には当然のようにあるからね。だけど、韓国の作り手とかと話していると、企画を考えて現場で汗を流した人間が一番偉いと言うね。その人達が潤わないと業界全体が発展していかないから。もちろん、韓国の方が日本よりもよっぽどビジネス最優先だから、当たるか当たらないかっていうところで作品の評価を分けてしまう。それでも当たった時に、お金を出していない制作者にもきちんと配分が行く契約になってるらしい。

想田:僕の「観察映画の十戒」に挙げている10番目が「製作費は自分たちで出す」なんです。NHKの番組を作っていた時に一番苦しんだのは編集権がないことで、僕がいろいろ編集しても、編集権を局側が持っているので、局が変えろと言うと変えざるを得ないわけですよね。しかもだいたいね、テレビ局というのは一番面白いところから削ろうとするんですよ。というのは、面白いところというのは規格から横溢するというか、危険な要素が入っているシーンなんですよね。でも僕はそのシーンを護りたいわけですよ。護るためにどうするかと言うと、もっと激烈なシーンを入れておくんです。

是枝:そこだけ削って譲ったフリをするんでしょ。やるやる。よくやりました(笑)。

想田:やりましたか(笑)。

是枝:対NHKでも、対フジテレビでもやりました。絶対これはやばいなというのを入れておいて、「これは流石に」と言われた時に、ええっ!という顔をして、「じゃあ、ここは削りますけど……」って演技をしますね(笑)。でも、それをやらないと護れないもんね。

  • 04 | ドキュメンタリーとSNS

是枝:SNSか。ここは想田さんの独壇場だよ。

想田:そうかなあ(笑)。

是枝:想田さんがある時は厳しく、ある時は微笑ましく自分の意見表明をしたり、ある種の「教育」をSNSでしている姿を見ると頭が下がる。

想田:僕はちょっと、お恥ずかしいんですけどね。これをやることが良いのか悪いのかもよく解らなくて。ツイッターで意見を表明してリスポンスが来れば、またそれに対してリスポンスをしてみたいなことを時々やりますけど。あれはいつもやっているわけじゃなくて、時々しかやってないんですけど。

是枝:本当?

想田:みんな、僕がいつもやっていると思ってるでしょう?

是枝:すごいエネルギーだなって思って見てる。匿名性の影に隠れてしかものを言えない人たちがいるのは分かるし、そのやり取りの中から生まれるある種のつながりも全否定はしないけれども、暗闇から石が飛んでくる感じがすごくするわけ。あそこをきちんとした言論空間に成熟させようという人たちは、本当に大変だろうなと思う。

想田:是枝さんはツイッターをされていますよね?

是枝:配給会社の人に宣伝をやるから、やってくれって言われて始めたわけ。自分のHPで発表したものを、告知のためにツイートしたりするけど、基本的には絡んで来た人には、そんなに対応しないでいるんだけど。前に『海街diary』の予告編で、長澤まさみさんが立て膝で飯食ってるカットがあって。その後で綾瀬はるかさんが「足っ!」って注意して、お行儀が悪いから直すってシーンなんだけど。「立て膝で飯食ってるから、韓国式の食べ方である。これは韓国文化を日本に浸透させるために監督か役者が企んでいるのではないか」と言われたことがあった。

想田:すごいありそう(笑)。

是枝:配給会社の電話番号を載せて、公開するなと電話をしようみたいなことがツイッターで出てきたわけ。めんどくせーと思ってさ。でも、個人的に僕に来るなら良いけど、配給会社と役者に向かっちゃってるから、立て膝はお行儀悪いのを注意するための演出だよって、一応返信したんだけど。

想田:そんなの説明すること自体がすごく嫌ですよね。

是枝:説明しても納得するわけじゃないし。それでしばらくすると、その人たちは別のネタを見つけて居なくなっちゃう。決してそのことを本気で考えているわけじゃないから、石が飛んできて振り返ったらもう居ない。拾って投げ返しても届かないみたいなことをやっていると、僕は精神的にタフなんだと思うけど、痛い人は痛いじゃない? 繰り返しやられたら痛くてたまらない人は山程いるじゃない。その人たちのことを考えると、少なくとも暗闇から石は投げられないような空間にしないと、決して公共的な場としては成熟していかないなと思うわけ。

想田:匿名で10も20もアカウント持っている人もいるし、要はイリュージョンなんですよね。反応がいっぱい来たとしても、もしかしたら実は発信者は一人かも知れないし、それが分かんないんですよ。僕はソーシャルメディアで反論するときは、説得は全く考えてないんですよ。相手のことを変えようとは思ってなくて。じゃあ何でやるかって言うと、反論することで脇で読んでる人に何か気づきがあったりとか、洞察があったり理解が深まったりということがあれば良いなというふうには思うんですよ。あとは、こういうことを言う人が居るっていうことは、言葉は悪いですけど、晒すっていうか明らかにするって言うんですかね。非常に差別的な言葉が飛んでくることも多いし、それを可視化する必要があると時々感じるんですよね。

是枝:でも、エネルギーを消耗するでしょ?

想田:します。だから、もう面倒くさいなと思っています。

是枝:僕はスルーしちゃうんだよな。可視化か。僕の方が冷たいのかもしれないな……。僕は今のところはテレビまでで精一杯なんだよね。

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