第1話放送は終了しました
妻の令子(いしだあゆみ)が愛人を作って家を出てから半年、東京の暮らしがすっかり嫌になった五郎(田中邦衛)は、純(吉岡秀隆)と妹の螢(中嶋朋子)を連れて故郷の富良野に戻った。富良野の市街から20キロ奥地の麓郷(ろくごう)という過疎村にある五郎の生家で新しい生活を始めたが、電気もガスも水道もない不便な生活に都会育ちの純や螢は馴染めない。特に、純は悪夢にうなされて、すぐにでも東京へ逃げ帰ろうとする。
第2話放送は終了しました
冬に向けて、純と螢は丘室づくりの石集め、五郎自身は薪木づくり。不慣れな労働にバテた純は、東京に帰りたいと思いつめる。純は、五郎の留守中に、令子に助けを求める手紙を書き、螢に町へ出しに行かせた。しかし、螢は途中で手紙を川に落としてしまい、追いかけていくうちに迷子になってしまう。
一方、五郎は叔父・清吉(大滝秀治)の牧場で、東京から来た義妹の雪子(竹下景子)に再会した。雪子は妻のいる男との恋に行きづまり、思い立って富良野へ来たのだった。
第3話放送は終了しました
どうしても東京に帰りたい純は、雪子に父に頼んでほしいとお願いする。五郎は、自分で直接言わない純の卑怯な態度にショックを受ける。五郎は教師の凉子(原田美枝子)に相談したが、家庭の問題なので母親と相談するのが良いという。五郎は令子に電話をして、純を帰す決心をした。
純は、雪子と一緒に東京へ発った。家の前に立ち、無言で見送る父と螢の姿が純の眼に焼きついた。富良野の駅まで送ってくれた清吉が言った「負けて逃げるんだぞ」という言葉は、純の胸に深く突き刺さった。列車に乗り込むと、富良野での10日余りの日々が胸に浮かんできて涙があふれ出した。
第4話放送は終了しました
令子の依頼で東京から弁護士の本多好子(宮本信子)が五郎に会いにやってきた。五郎に純と螢の養育権のことを切り出した。彼女は、令子が中畑和夫(地井武男)気付けで純と螢に書いた手紙を子どもたちに見せたかと問いただした。母の手紙の存在を知った純は、父に不信感を抱いた。そんな純に五郎は、手紙を勝手に焼いてしまったと告白する。
弁護士は五郎を非難し、令子と一緒に暮らさないかとしきりに純を誘った。だが、純は母以外の人間に父を悪く言われることに耐えられず、自分でも訳のわからない感情にかられて、母からの電話にも出ずに逃げ出した。
第5話放送は終了しました
富良野での生活に慣れるのが遅い純には、五郎が螢ばかり可愛がって、自分には冷たいように感じられてならない。
五郎は、亡き父の友人・笠松杵次(大友柳太朗)に会ったが、すっかり年を取って、"ヘナマズルイ"変わり者になっていた。「五郎が移り住んだ家も土地も自分が五郎の父から借金の形にもらった」と言われた五郎は苛立ち、純に強くあたる。純はやっぱり父に嫌われていると思い込み、悲しみと不安を募らせる。堪えていた悲しみが一気に爆発した純は、螢が餌付けをしようとしているキツネに石を投げつけた。五郎が飛んできて純の頬を叩いた。しかし、それは純のひ弱な心を鍛えるための五郎の気持ちだった。
第6話放送は終了しました
冬を迎えた富良野。雪子はマフラーを編んでいた。純と螢はそのマフラーは草太(岩城滉一)へのクリスマスプレゼントではないかと考えた。おしゃべりな純が草太にそのことを耳うちした。雪子に思いを寄せる草太は有頂天になり、雪明りの夜、雪子を連れ出して不器用にキスをする。しかし、そのマフラーは草太へのものではなかった。東京で別れてきた恋人・井関(村井国夫)への想いがまだあるのだ。
雪子の気持ちを確かめにきた草太のガールフレンド・つらら(熊谷美由紀)に雪子は驚くほどクールできつい一面を見せた。雪子は草太のことも含めて、気持ちを整理するために東京へ帰ることにした。
第7話放送は終了しました
ある日、純は中畑家でこっそり令子に電話をし、声を確かめた。その後、また電話をした。令子はとても喜んだ。螢も共犯者にしようと、純は螢を呼んだ。だが、螢は相手が母だと知ると一言も言わずに電話を切り、その日から純とほとんど口をきかなくなった。
二学期の最後の日、五郎は凉子から意外な報告を受けた。前日の放課後、螢が職員室の電話で母親と話していたというのだ。純ではなく螢だという事実に五郎は衝撃を受けた。
クリスマスの日、家に戻ると、純と螢のくつ下を履かせた子ども用のスキーが二つ立てかけてあった。五郎からの思いがけないクリスマスプレゼントに純も螢も胸がいっぱいになった。その夜、螢は内緒で令子に電話したことを五郎に話して謝ったが、純は謝りそびれて悲しい夢を見てしまう。
第8話放送は終了しました
大晦日、試行錯誤を繰り返していた、沢の水を引くパイプ作りがついに成功した。勢いよく樋に溢れ出す水に感動した純と螢は父に飛びついた。一緒にいた凉子も胸を熱くした。五郎は凉子を送る途中、純の友達・正吉(中沢佳仁)の家で純と螢を降ろし、紅白を見ておいでと言った。大喜びの純と螢だったが、帰省した母に甘える正吉を見て遠慮してしまった。五郎は、テレビを見ないで帰ってきた純と螢を、富良野の街の灯が見える丘に連れていった。厳しい自然の中で、力一杯生きる五郎と子どもたちの間に、温かい心のつながりが生まれかけていた。大声で行く年に別れを告げた三人が小屋に戻ると、雪子が待っていた。
第9話放送は終了しました
純と螢は草太と雪子に連れられ、スキーに出かけた。その留守中に突然、令子がやってきた。令子は螢のパジャマを抱きしめて子どもたちに会わせてほしいと五郎に頼んだ。だが、五郎はやっと新しい暮らしに慣れてきた子どもたちの動揺を恐れて、遠くから見るだけにしてほしいと断った。その日、帰ってきた螢は、敏感にパジャマについた母の匂いをかぎつけた。翌日、小屋の外で風力発電の作業を手伝う純と螢を、令子は少し遠くから見つめていた。そこへ何も知らない草太がやってくる。どことなくぎこちない周囲の様子から、純と蛍は母が来たことを悟ってしまう。
第10話放送は終了しました
雪子と純は、五郎を喜ばせたい一心で風力発電に必要な部品が届いたという街の商店に車で出かけた。大雪注意報が出ていたが、その時はまだ青空が広がっていた。しかし、部品を受け取り、街を出る頃から降り出した雪がみるみる激しくなって視界が悪くなり、車が吹きだまりに突っ込んでしまった。夕方になっても帰ってこない雪子たちに五郎が異変を感じた時には、村のあちこちで送電線が切れ、停電して暖房が止まったり、断水したりしていた。除雪車さえも入れない状態だが、杵次の馬ソリならと思い、五郎は杵次と馬ソリで探しに出た。その頃、雪子と純は疲れ切って凍死寸前になっていた。眠ろうとする純を励ましながら自分も眠りかけていた雪子の耳に、かすかに馬ソリの鈴の音が聞こえた。ハッと目覚めた雪子は懸命にクラクションを鳴らし、駆けつけた五郎と杵次に奇跡的に救出された。
第11話放送は終了しました
草太は、助けられた雪子の看病をし、自分の働いている牧場で雪子も一緒に働けるようにとりはからったが、つららは気が気でない。
五郎は、杵次の所に雪子と純を救助してくれたお礼に酒と一万円を入れたのし袋を持っていったが、ヘソ曲がりの杵次はつき返す。
雪子のことで両親と揉めて街へ飲みに行った草太が、男たちと喧嘩して警察へ連れていかれた頃、ついに、つららが家出した。つららの父・辰巳(塔崎健二)は、無言で思い切り草太をひっぱたいた。純が石をぶつけて以来、姿を見せなかった螢のキツネがまた姿を見せるようになっていた。そのキツネがつららがいなくなった夜、虎ばさみに左足をかまれ、罠を引きずったまま螢に別れを告げにきた。
第12話放送は終了しました
学校では、螢のキツネが虎ばさみにやられたことが話題になった。正吉は、キツネに餌付けするのは間違っているという。純と螢は納得できなかったが、凉子は正吉の意見に賛成した。正吉は虎ばさみを仕掛けたのは祖父の杵次だと知っていた。杵次は冬になると罠でけものを捕らえ、正吉にチョッキを作ってくれていたのだ。その後、純と螢は、凉子から罠を仕掛けて猟をしなければ生きられなかった開拓時代の生活のことや、野生動物を餌付けすると自分で餌を見つける力が衰え、罠にかかりやすくなることを教えられた。
雪子が草太の父・清吉(大滝秀治)から牧場で働くことを断られた日、五郎は風力発電機を完成させ、小屋に初めて電灯がついた。そのお祝いを兼ねて五郎たちは雪子の誕生祝いを準備していた。傷心して帰ってきた雪子は、お祝いの歌声に迎えられ、抑えていた涙をあふれさせる。
第13話放送は終了しました
令子が急に入院したため、純は雪子と東京へ行った。令子は純に会えてとても喜んだ。しかし、発作的な激しい痛みが令子を苦しめる。原因が分からずモルヒネで痛みを抑えていると聞いて不安になった雪子は、もっと大きな病院に転院を勧めた。だが令子は、恋人の吉野(伊丹十三)の紹介である病院から移ろうとしなかった。
純は東京の友だちに再会した。しかし、彼らの話題に入っていけず、ショックを受ける。
吉野から「ずっと令子のそばにいてやってほしい」と言われた純は、令子を置いて北海道に帰っていいか分からなくなってしまう。
第14話放送は終了しました
令子の病気は神経性のものである可能性が高く、純とこのまま一緒にいたいと願った。
そんな令子の思いを察した純は東京で暮らそうと考え、五郎に手紙を書き始めた。しかし、麓郷で生きる厳しさや工夫をして物を作る喜びを知った純は、流行を追ってまだ使える物を捨てる東京の生活が素敵だとは思えなくなっていた。純は、病気の母を気遣いながらも北海道へ帰るのだった。
北海道へ帰ってきたある日、正吉と秘密の約束をした純は、星の勉強だと五郎に嘘をついて夜に家を飛び出した。螢が純と正吉を追いかけてきた。そうするうちに、三人はオレンジ色に輝くUFOと、その近くの森から出て来た凉子を目撃して呆然となる。
第15話放送は終了しました
純たちがUFOを目撃した次の日、凉子は学校を休んだので、UFOと何か関係があるのではないかと噂する。そんな中、凉子が2年前東京で生徒を殴って自殺させたという投書が舞い込む。差出人不明の卑劣な投書に怒りを覚えた五郎や中畑は凉子をかばうが、杵次は真相をつきとめようとした。
東京へ行って以来、電話一つよこさない雪子に草太はふられたと思い、ボクサーになって見返してやると意気込む。
父母参観の日、杵次が酔っ払ってやってきて投書の件の真相を話せと迫ったため、凉子は2年前の事件の全てを語った。その日、杵次は18年一緒に暮らした愛馬を手放して荒れていた。夕方から降り出した雨の中、五郎の家へやってきた杵次は、愛馬との別れの辛さを吐き出して帰っていった。翌朝、橋から落ちて河原で死んでいるのを発見された。
第16話放送は終了しました
杵次の遺体のそばには壊れた自転車があり、誤って橋から転落したことがわかった。五郎は、昨夜訪ねてきた杵次を送っていくべきだったと悔んだ。通夜と葬儀の準備をする中、杵次の孫・正吉がいなくなった。正吉は杵次の作ってくれた小屋の中で泣いていた。通夜でも葬儀でも、人々は杵次をヘナマズルイ偏屈者だったと噂した。だが、清吉は彼が「仏の杵次」と呼ばれた村の功労者であることを知っていた。18年間杵次と暮らしてきた愛馬も彼の苦労を知っていたのだ。その愛馬を手放した時、杵次がどんな思いだったかと清吉は涙をあふれさせた。「馬だけが杵次を本当に分かっていたのだ」という清吉の言葉は、純の心に焼きついた。正吉は杵次の死後、一度も学校に来ることなく、突然麓郷を去っていった。
五郎は秋までに家を建てる計画を立てていた。小さくても夢のある丸太小屋。純も螢も夢中になった。
第17話放送は終了しました
夏休みが近づいたある日、雪子が麓郷に戻ってきた。退院した令子と弁護士も一緒だった。令子と五郎は正式に離婚することになり、別れの思い出にと、令子と弁護士は純と螢を連れてラベンダー畑に出かけた。純は悲しみに胸をつまらせながらも、令子の気持ちを気遣っていた。しかし、螢は冷やかな態度を取り続けた。純はそんな螢に腹を立てた。その夜、令子は病気をぶり返した。発作はすぐ治まったが、医師からはできるだけ早く大学病院へいくべきだと言われた。
令子は東京へ帰ることに。汽車の車窓から空知川に沿って懸命に走っている少女が見えた。螢だと気づいた令子はちぎれるくらい手を振った。螢は草太に空知川の岸まで連れて行ってもらい、泣きながら一人、母を見送ったのだった。五郎から螢は螢のやり方で悲しみをこらえているのだと聞いた純は、ラベンダーの花束を抱きしめ涙の筋を頬につけて眠っている螢に胸を打たれるのだった。
第18話4/4(日)あさ9時
空知川のいかだ下りの日、空知川の岸辺に趣向を凝らした手づくりいかだが勢ぞろいした。中畑家の四帖半号に乗る純が川下りを見ているつららを見つけた。雪子が見る間もなく、つららは姿を消してしまった。
五郎のいかだは転覆した。後からきたスナック駒草の駒草号に助けられた五郎は、ママと一緒に乗っていたこごみ(児島美ゆき)が同じ頃、東京のすぐ近くで暮らしていたことを知って驚いた。
その日、つららが家へ帰ってきているのではと急いで帰ったが、つららは「心配しないで」と置き手紙を残して消えていた...。
第19話4/4(日)あさ10時
凉子と螢がベベルイの山へUFOを見に行き、道に迷って遭難しかけた。二人は無事に見つかったが、事が公になれば凉子が非難される。五郎は凉子をかばって何も話すなと純に口止めした。しかし、純はボクサーとしてデビュー間近の草太を取材しにきた新聞社の人に凉子と螢が一緒にUFOを見たことや、二人が遭難しかけたことをしゃべってしまった。
一方、五郎はいかだ下りの時に知り合ったスナック駒草のホステス、こごみに関心を持った。離婚届の受理通知が送られてきて、さすがに落ち込んだ五郎は駒草へ飲みに行った。事情を知ったこごみは令子との思い出に涙する五郎を自分のアパートへ誘った。翌日、五郎はラベンダーの香りを服につけて朝帰りした。螢は敏感に香りを嗅ぎつけ不安を抱いた。その朝、新聞に凉子を非難する記事が載った。
第20話4/11(日)あさ9時
螢は取材を受けることになり、凉子と一緒に見たUFOのことをありのままに話したが、ニュース・ショーでは、あり得ない夢物語として扱われた。螢の気持ちは傷つけられ、純も怒りを覚えた。
五郎は純と螢をピクニックに誘った。こごみも一緒だった。純と螢は複雑な思いでこごみを観察し、やたらにはしゃぎまわる父にしらけてしまうのだった。
凉子が遠くの学校へ転勤することになった。凉子が左遷されたのはUFO騒ぎの責任をとってのことだと噂が広がり、純は自分のおしゃべりが原因だと落ち込んだ。
純は、凉子とUFOを見ると約束した日、風邪をひいてしまい、待ち合わせの場所に時間通りに行くことができなかった。ようやく抜け出し、凉子を探して雷雨の中をさまよっていると、凉子がUFOに乗って去っていく光景を目撃した。
第21話4/11(日)あさ10時
五郎が駒草でつららの噂を耳にした。ススキノのトルコで雪子という名で働いているというのだ。そこには、見違えるようにあかぬけて、明るく生きている彼女がいた。
草太のボクシングの初試合の前日、雪子たちと食事の約束をしていた場所に草太は来なかった。ジムの会長(ガッツ石松)が雪子のために試合に勝ちたいという草太の甘さに腹を立て、つららがススキノのトルコにいることを教えたのだ。
草太は惨めに敗北した。帰りかけた雪子と純につららが声をかけてきた。つららはファッション関係の仕事をしていると嘘をついた。だが、麓郷に捨ててきた農家の暮らしこそ本物だと思うというつららの言葉に、雪子はつららの悲しみを知るのだった。
第22話4/18(日)あさ9時
五郎は丸太小屋の組み立て作業に取りかかった。仲間たちが力を貸してくれ、作業は順調に進んだ。純と螢は、山ぶどうを集めていた。二人でこっそり五郎の誕生パーティーを計画し、山ぶどうでぶどう酒を作ってプレゼントするつもりでいるのだ。
こごみが五郎に会いに丸太組みの現場にやってきた。こごみは自分のせいで作業現場の雰囲気が一変したのを感じ、用事を思い出したとわざと明るく立ち去った。螢がこごみを五郎の誕生パーティーに呼んだことに、純は猛反対。「スナックの女なんか」と激しい反感を示した。ショックを受けた五郎は、職業で人を差別してはいけないと厳しく純に言い、誕生パーティーも断った。
令子が雪子に再婚すると知らせてきた。五郎は令子の決断にホッとしながらも複雑な思いでこごみを訪ねた。そんな五郎に令子が急死したという信じられない知らせが届く。
第23話4/18(日)あさ10時
令子が死んだ。純と螢は雪子と一緒に東京へ向かった。五郎は通夜に間に合わず、葬儀の朝になってやっと姿を見せた。一度だけ令子の死に顔に手を合わせると、あとは台所で料理をして、周囲を呆れさせた。
吉野が純と螢に新しい運動靴を買い与え、すり切れた古靴を捨てさせた。古靴は五郎がなけなしのお金をはたいて買ってくれたもので思い出も愛着もあった。
葬儀が済むと五郎はすぐに北海道へ帰ると言った。純には、父が母の死を悼んでいないかのように見えた。だが、その夜遅く目を覚ました純は、父が母の遺骨の前で泣いている姿を目撃した。翌朝、五郎は北海道へ帰ってしまった。令子の身内には、五郎を非難する者もいた。だが実は、通夜に間に合わなかったのは、飛行機ではなく汽車で来たからであり、早々に帰ったのも丸太小屋の作業に人手を頼んでいたからだった。清吉の話で五郎の生活の厳しさを知った人々は沈黙した。一部始終を聞いていた純は、螢と昨日捨てた古靴を探しに飛び出した。
第24話4/25(日)あさ9時
令子が死んで一週間経った。
好きだった友達も先生も東京も純には色あせて見えた。北海道の大自然の中で五郎とともに戦って生きてきた一年間が純を変えていた。純は富良野の美しい自然と、生きるための勉強を教えてくれた凉子に会いたくて堪らなくなった。
令子の書きかけの手紙が見つかった。富良野を訪れた時に見た美しい雲のことや、純と螢の暮らしぶりを気にかけていた。純と螢は、五郎の待つ富良野に帰った。
麓郷では完成した丸太小屋が純たちの帰りを待っていた。前に住んでいた小屋を見に出かけた純たちは、虎ばさみにやられて三本足になった螢のキツネに再会した。大怪我をしながら元気に生き抜いていたキツネの姿に、令子の死で沈んでいた五郎も子どもたちも元気づけられた。その夜、純は夢の中で富良野での一年の出来事を母に語りかけた...。
北の国から '83 冬5/8(土)ひる12時 5/16(日)あさ10時40分
東京に出稼ぎに行っていた五郎が麓郷に帰ってきた。純と螢は大喜び。そんな時、身持ちの良くない母親に反発していたみどり(林美智子)の息子の正吉が家出をする。
正月、沢田松吉(笠智衆)という老人がふらりと現れた。昔、麓郷を開拓した草分けの一人であったが、30年前に女と駆け落ちして出ていったままだった。聞けば東京で医薬品会社を経営、今は会長職だという。部落を挙げて松吉のために歓迎会を開く。だがそんな折、ばくちで借金したみどりの連帯保証人になっていた五郎に、700万円を払えという難題がふりかかる。小屋を建てて暮らしている土地二町一反、そっくり取られてしまうことになる。その話を聞いた松吉老人は、あっさりと俺の山を売れという。張本人のみどりは正吉を五郎の家に置いたまま姿をくらましていた。
自分の母の不始末にショックを受けた正吉は、その夜、五郎の家から飛び出してしまった。翌日になっても正吉は帰らない。こっそり五郎に会いに来たみどりは、麓郷を出て行くという。五郎は、麓郷に帰って来るようみどりを説得し、正吉をあずかることも約束する。戻ってこない正吉を、純、螢、五郎は翌日朝から探し回る。正吉は、屋根の雪おろし中に、雪と一緒に落ちて、雪の中に埋まっていた。五郎たちは必死に雪を掘って助け出した。
松吉の山の話は錯覚であり、とっくに人手に渡っていた。東京の会長職というのも嘘だった。
北の国から '84 夏5/8(土)ひる1時40分 5/23(日)あさ10時40分
夏休みに入るとすぐ、中畑のところへ東京で働いている妹が息子の努(六浦誠)を連れて帰ってきた。努はパソコンを自由自在に操り、純や正吉、螢たちをうらやましがらせた。
富良野の夏のヘソ祭りの日、純たちは努とともに久しぶりに町へ出かけ、帰りに中畑家に立ち寄った。子供たちはまた努のパソコンに群がる。純は、パソコンの入門書が気になって仕方がなかった。純の手が入門書へと伸びたとき、背後で、「お前のおやじにはがっかりしちゃったよ」という努の声。
純の代わりに正吉が入門書を盗んだ。心を見透かされた純はあわてて「オレは絶対盗る気なんてなかった」と否定した。「やっぱりお前はキッタネエ奴だなァ!」この言葉がこの春からずっと純の心にひっかかっていた。
今年の3月29日、その日は五郎が出稼ぎから帰る日だった。正吉と一緒にスキーに熱中していた純は、約束の時間に遅れて大慌てで着替えてバス停に向かった。着替え時ストーブの上の物干し網に放り投げた下着が原因で丸太小屋が火事になろうとは、思いもしなかった。
丸太小屋は焼け落ち、翌朝、正吉と純は交番で簡単な事情聴取を受けた。純はなにも言えなかったが、正吉はシャツを干したこと、慌てていたのできちんと干し網に載せたかどうか確認しなかったことを話した。村中の噂では、正吉の火の不始末が原因だという話になっていた。
北の国から '87 初恋5/8(土)午後3時20分 5/30(日)あさ10時40分
中学3年生になった純がある日、大きな農家の大里家の裏にある奇妙な風力発電の仕掛けを見にいくと、大里の娘れい(横山めぐみ)が現れる。美しい少女で純はボーッとしてしまう。
純は、家の作業小屋でポンコツの自転車で実験しながら、五郎の誕生日に驚かしてやろうと思い立つ。その傍ら、純はれいに近づく算段をし、ようやく道で二人になれた。れいも自分に好意を持っていることを知り、純は有頂天だった。歩いているうちににわか雨となり、雨宿りをする純とれい。れいは中学を卒業したら東京へ行くのだという。東京の高校へ、と純も興奮する。だが父がなんと言うか気にかかる。
近頃、純と五郎はあまり語らなくなり、お互いのことが分からなくなっていた。純は東京の叔母雪子にひそかに手紙を書き、東京に行きたいのだと伝える。
れいの父親大里(坂本長利)が、純に例の風力発電の仕掛けをくれるという。純は大里のガレージに通い始めるが、なぜかそんな大里家通いを喜ばない五郎。
雪子から下宿させてやると返信がきた。父には話し出せず、純は草太に打ち明け、中学卒業の時に10万円貸してほしいと頼む。五郎はある夜、純あての雪子の手紙を見てしまい、あげくは草太から聞いていたと中畑からも聞かされる。父親だけが知らないでいたという思いが五郎にはつらかった。
北の国から '89 帰郷5/8(土)午後5時30分
五郎は毎夜のようにスナックで酔う。東京にいる純が、毎月送金してくれるのがうれしいのだ。それに、富良野から旭川の看護学校まで通い、夜になって帰ってくるけなげな螢も五郎にはたまらなかった。
五郎は、いずれ子供たちが巣立った後のためにもう一度丸太小屋を作るつもりでいた。
螢は、同じ汽車に乗り合わせる予備校生の勇次(緒形直人)と、いつしか車中のひそかな逢瀬を楽しむようになる。五郎は、黙ってそれを見守る。
純は仲間たちとバイクを乗り回し、髪を赤く染め、親友アカマンと自動車修理工場で働いていた。純は暴走族幹部の妹エリ(洞口依子)の口利きで400ccのバイクを手に入れ、得意になる。だが、そのバイクは盗品で、警察に調べられ、おまけに、工場のロッカーから万札2枚が盗まれた。純が北海道を出る時に五郎が渡してくれた泥のついた札だ。盗んだのはアカマンだった。工場の先輩水谷に借金返済を迫られ、切羽詰まって盗んだのだ。純は、水谷に殴りかかり傷害事件を起こしてしまう。
純はエリの協力で、あの万札を遂に探し出す。
傷害事件のことを知った五郎は黙って純を東京から帰らせた。五郎から事情を聞いた草太、アイコ(美保純)らが、純をつかまえて頭を黒く染め直す。故郷の人たちの何ともいえぬ温かさに、純は救われた気持ちになるのだった。
北の国から '92 巣立ち 前編5/8(土)よる7時50分
夏のヘソ祭りが今年も近づいてきた。丸太小屋を失った五郎は、和夫の家の小屋に住みながら、山にもう一度丸太小屋を作ろうと考えている。
旭川の看護学校に通う螢は、待ちわびる五郎の気持ちを知りながら、富良野にはなかなか帰らない。実は五郎に内緒で富良野の駅を通り過ぎ、帯広の畜産大学の恋人勇次に会いに行っているのだった。しかも、来春螢が卒業したら富良野の病院で働くことを心待ちにしている五郎の思いとは別に、螢は札幌にある勇次の伯父の大病院で正看の資格を取るつもりでいた。
一方、東京のガソリンスタンドで働く純は、ピザ店で働くタマ子(裕木奈江)と知り合い、いつしか一線を越える仲になってしまう。
北の国から '92 巣立ち 後編5/8(土)よる10時
東京のガソリンスタンドで働く純は、ピザ店に勤めるタマ子が妊娠したと知る。真っ青になった純は食事ものどを通らなくなる。しかし彼女が堕胎したと知り、駆けつけた病院で純はタマ子の叔父(菅原文太)に殴られる。純の話を聞いた五郎は急遽上京し、純と共にタマ子の叔父に土下座して詫びるが追い返されてしまう。富良野に戻った五郎は、3年越しの丸太小屋づくりを断念し、タマ子への慰謝料を作る。
一方、旭川の看護学校から、富良野を通り越して帯広の恋人勇次に会いにゆく螢は、来春卒業したら、富良野の病院には勤めず、勇次のすすめる札幌の大病院で正看の資格を取る気でいる。
大晦日、久しぶりに帰省する純と螢を温かく迎える五郎。3人はそれぞれの想いを胸に再会する。
北の国から '95 秘密5/9(日)ひる12時
純は、富良野に戻り、正吉と一緒にアパート暮らしをしていた。札幌に住むれいと付き合ってはいたが、会う度にれいと純の距離は開くばかりだった。
そんなある日、純は小沼シュウ(宮沢りえ)と知り合い、五郎に会わせる。シュウは、度々五郎の石の家を訪ねるようになった。
そんな折、札幌で看護師をしているはずの螢が行方不明だと、純のところに勇次が知らせてきた。螢は黒木という医者と不倫をしており、病院も辞めてしまったらしい。
一方、正吉は一冊のポルノ雑誌のグラビアに、シュウが写っていたのを見つける。
ある日螢が突然、純のアパートにやってきた。根室の診療所で黒木と二人で暮らすのだと言う。螢には、これまで純が見たことのない凛とした強さがあった。
年が明けた正月。純はシュウが昔AV女優をしていたことを知ってしまう。その頃五郎も、黒木の妻(大竹しのぶ)が訪ねてきたことにより、螢の不倫を知ってしまう。
翌朝、五郎は純の車で螢の元へ向かうが、「何をしようと、俺は味方だから...いつでも富良野に帰ってくるんだぞ」としか言うことができなかった。
シュウがまた、五郎の元を訪れた。シュウがつらい胸の内を話せるのは、五郎だけだった。
ある日、れいがお嫁に行くと知った純は、れいのいる札幌に向かう。車のワイパーには、今夜会ってほしいというというシュウからのメモがあった。
北の国から '98 時代 前編5/9(日))午後3時10分
1997年、初夏。落石に暮らす螢の元に正吉がやってきて、富良野の近況をいろいろと話し始めた。
近頃、炭焼きに凝って完次(小野田良)のやっている有機農法の手助けをしているという父・五郎。一緒に暮らしている純は、今ではすっかりゴミ収集のベテランになって、恋人のシュウともうまくいっているらしい。
しかし、純とシュウの間は実際はうまくいっていなかった。純がシュウの家族に挨拶に行った直後、シュウは、実家に帰ってくるよういわれたのだ。自分の職業が気に入られなかったと思い悩む純は、すっかり落ち込んでしまう。その上、螢が金を工面するために、富良野に戻ってきており、和夫や正吉、離婚して富良野に戻っていた雪子のところにまで行っていたと知った純は、自分と五郎の所にはやってこなかったとさらに落ち込んでしまう。
螢は一体何のために金が必要なのか、だれもその理由を知らない。しかし、最後に訪ね、金を用意してくれた草太にだけは、螢は本当のことを打ち明けていた...。
北の国から '98 時代 後編5/9(日)午後5時40分
螢と正吉の結婚が決まった。螢が結婚の日まで、石の家で暮らすことになり、喜びを隠しきれない五郎。だがシンジュク(布施博)が、螢のお腹の子の父親が実は、正吉の子ではないことを和夫から聞いてしまう。
実は子供のことは、正吉のことを誰よりも知る純も、そして五郎さえも疑いを持ち始めていた。
ある日、五郎は螢のいない間に、母子手帳を見て真実を知ってしまう。そして、シュウのもとを訪ね、シュウに自分たちのそばにいて欲しい、と伝えた。
そんなある日、完次(小野田良)が離農を迫られ行方不明になったという知らせが五郎と純のもとへ入る。純は、完次の離農を言い渡したのは草太だと聞き、ショックを受ける。
それからしばらくして、純は正吉から、草太が完次の住んでいた家に住まないかと持ち掛けてきたことを聞かされた。純も草太から仕事を手伝わないかと誘われていた。ある夜、草太にスナックに呼ばれた純は、また仕事の誘いをうけたが、協力はできないときっぱり断った。スナックにいた客からも非難の言葉を浴びせられ、怒って店を出ていく草太。
その翌日、純は雪子の店へシュウへのクリスマスプレゼントを買うためにやってきた。雪子の代わりに鳴り響く電話を取ると、それは五郎からで、受話器から聞こえてきた言葉に、純は呆然と立ち尽くすのだった...。
北の国から 2002 遺言 前編5/9(日)よる8時35分
草太が事故で亡くなってから4年が経った。草太から引き継いだ牧場の倒産で、純と正吉は借金を抱え富良野から出て行った。
螢は3歳になる息子・快(西村成忠)と富良野で暮らしていた。五郎にとっては孫の快が唯一の生きがいであった。ある日、和夫の元に娘のすみえ(中島ひろ子)が帰って来た。結婚が決まったというがすでにお腹には子供がいるらしい。すみえの結婚相手の清水正彦(柳葉敏郎)は、五郎が廃棄物で作った雪子の家を見て感動し、自分とすみえの新居を建てて欲しいと頼み込み、五郎は新居作りに着手することになった。
そんな時、久し振りにシュウが五郎を訪ね、近く結婚して神戸に行くことを話し、純にあてた手紙を置いて行った。その時、五郎の下腹部は急に痛みだし、螢に言われ続けた精密検査を受ける決心をする。純はシュウの手紙を、羅臼という漁師町で受け取った。廃棄処理業をしながら暮らす純は、ある日コンビニの店員・高村結(内田有紀)と出会い、魅かれていく。しかししばらくして純は、結が人妻で、その義父・吾平(唐十郎)がトドと呼ばれる気性の激しい男だと聞かされた。ある日螢は、病院でみずえ(清水まゆみ)の姿を見つけた。病院の駐車場でみずえを送り届けて戻った和夫の手は小さく震えていた...。
北の国から 2002 遺言 後編5/9(日)よる10時50分
螢の勤める病院にみずえが入院してきた。肝臓に癌が転移しておりすでに手の施しようがなかった。その日、一緒に新居作りをしていた新吉が「遺言を書いているか?」と切り出してきた。新吉のすすめもあり、五郎は元中学校の校長の山下(杉浦直樹)に習い、遺言を書いてみることにした。
ひょっこりトドが五郎を訪ねてやって来た。二人は、仕事や子供のことを語りあったが、五郎は最後までトドの素性を知らなかった。
そして純は、流氷を親父さんに見せるようトドに言い渡された。羅臼までの交通手段と同封された費用を受け取った五郎は、この冬の羅臼行きを決めた。その頃、結の夫・弘(岸谷五朗)が町に戻って来た。呼び出され叩きのめされた純。純は自分の決心を告げに弘のもとに乗り込み、そして結の手には猟銃があった。
流氷が来て、五郎が羅臼にやって来た。純は富良野に帰ろうと思っていること、結のことを打ち明けた。翌朝、純はトドがトド撃ちに行ったまま戻って来ないことを知らされた。漁船での捜索、巡視船も出された。純と弘は迎え火を焚いてトドの帰りをひたすら待つのだった。
時をほぼ同じくして、富良野からみずえの死の報が入り、純は2年振りに富良野に帰ることになった。そして螢の元に正吉からの手紙が届いた。
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