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 特集「いま、映画作家たちは。」にセレクトして頂き光栄です。自分なんかがという思いもありますが、何より濱口竜介さん、三宅唱さんという同世代の素晴らしい監督たちと企画を共にできることが嬉しいです。
 私が映画を見始めたのは中学の頃ですが、笑えるほどお金がなかったので、大学に入ってバイトを始めるまではほとんど映画館には行けませんでした。映画はVHSやケーブルテレビで見漁る毎日です。なので、ブラウン管の鈍い輝きを入り口に私は映画の世界にのめり込んでいったと言えます。今回自分の作品がテレビ(もうブラウン管ではないですね)を通じて皆さんに届けられると思うと、何か過去の自分の映画体験と自作がぐるりと巡って接続するような不思議な気持ちになります。
 テレビで映画を見ることは、画集で絵画を見ることと同じだと思っています。大抵の人はまずは印刷された画集や教科書で名画に触れ、いいなと思い、美術館へと足を運ぶようになります。そして実際の絵画を見ると、想像とまったくサイズが違ったり、絵の具の凸凹が印刷にはない陰影を作りだしていたりと、新たな発見とともに絵画と「出会い直す」こととなります。しかし、絵画に触れる感動という点において、画集のそれは美術館と比して必ずしも劣るものではありません。大事なのは環境よりも、人生のどのタイミングでその作品に触れることができるか、そのタイミングを逃さないことだと思います。
 ぜひ、今回の放映が皆さんにとって初対面であるのであれば、一期一会の幸福な出会いになることを願っています。そしてまた別の機会にスクリーンを通じて「出会い直せる」ことを楽しみにしています。
 最後に急ぎ足で作品について書きます。まず『歓待1.1』という作品は、2010年に公開した『歓待』を台湾の映画祭用に再編集したものです。この作品は既に2006年に書いていた最新作『淵に立つ』のシノプシス前半部が基になっています。つまり『淵に立つ』とは姉妹編のような内容で、古舘寛治さんの役回りが逆になっているのがミソです。
 『さようなら』は平田オリザさんの短編戯曲を大幅に脚色し長編映画としたものです。2010年に初めて舞台を見て一目惚れし、どうしても映画化したくオリザさんに直談判しました。「死と孤独」という私にとっていつもついて回るモチーフと徹底して向き合わせてもらった作品で、これだけ商業性の低い作品を支えてくれたスタッフ、プロデューサー陣には感謝しかありません。ちなみに、映画の終盤にある横たわるヒロインを捉えた長回しはCGなしで世界初の特殊メイクの手法をもって描かれています。ご注目ください。この映画は、このシーンがやりたくて作ったようなものです。
 『いなべ』は沖縄国際映画祭からの依頼で三重県いなべ市の地域発信映画として作ったもので、いつもとちょっと違った俳優たちとお仕事ができ、貴重な経験となりました。
 どの作品にも共通して言えることですが、私は100人の人が見たら100通りに見え方の分かれる映画にしたいといつも願いながら作っています。そのためには映画としてのカタルシスや興奮が損なわれても構わないとさえ思っています。
 これらの作品たちが皆様の心の中でどのように映るのか。不安とともに楽しみで仕方がありません。

深田晃司

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 濱口さん深田さん両監督は、自分がリスペクトする先輩であり、また密かに仲間意識を感じている監督です。ただし仲間といっても、一緒にお酒を飲むわけでもないし、頻繁に情報交換をすることもなく、映画もまるで似ていない。お二人とも好き勝手に、自由に、それぞれがこれだと信じるやり方で映画をつくり続けている。だからあらゆる意味でばらばらなんですが、ばらばらであるがゆえに仲間なんじゃないか、とぼくは思っています。
 この特集を企んだ方たちもきっと、そんなばらばらの映画たちをひとつにまとめるようにみせかけて、むしろそれぞれを四方八方へ、より遠くへ、ぱあっと弾け飛ばそうとしてくれている気がして、ありがたいです。
 『Playback』 も『やくたたず』も、最高の役者たちをとことん楽しんでほしいです。彼らの生き生きとした姿をじっとみつめてもらえれば、自然とすっきりして、いい気分になれるはず、と信じています。
 これまで同様、映画館での上映も継続していきたいと考えていますが、今回、映画館のない地域にお住まいの方にも観ていただける可能性が広がること、喜んでいます。ぜひご自宅が映画館になったつもりで楽しんでください!

三宅唱

三宅唱 SHO MIYAKE

1984年、北海道生まれ。初長編作品『やくたたず』(2010)を制作した後、2012年劇場公開第1作『Playback』を監督。モノクローム映像に彩られた本作は、第65回ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に正式出品されたほか、第27回高崎映画祭新進監督グランプリ、第22回日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞。映画評論家の蓮實重彦氏が2012年公開の映画ベスト10に本作を選出するほか、渋谷ユーロスペースで定期的にリバイバル上映される等、映画ファンからも熱狂的に愛される一作となった。
また2014年にはヒップホップユニットSIMI LABのOMSBやTHE OTOGIBANASHI'SのBimたちが新曲を完成させるまでの2日間を追ったドキュメンタリー『THE COCKPIT』を発表。ヒップホップの音楽作りに刺激とヒントを求めて、リアルで新しい映画作品の姿を提示した。

三宅唱監督作品3月12日(日)~3月13日(月)
よる11時~ 2夜連続放送

  • 作品タイトル
  • ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門に正式出品された劇場デビュー作

    Playback(2012)TV初/未ソフト化

    監督・脚本・編集:三宅唱
    出演:村上淳、渋川清彦、三浦誠己、渡辺真起子、河井青葉

    40歳を目前にして人生に行き詰った俳優が、これまで生きてきた道を辿り直すことで再生してゆく姿を、美しいモノクローム映像と緻密な構図で描き出す劇場公開第1作。
    現在と過去が交錯し反復される、映画というものを再発見させるような世界観をつくりだし、国内外の評論家や多くの映画ファンの注目を集めた。2012年の公開以来、現在でも35ミリフィルムによる上映が定期的に行われている傑作。

  • 作品タイトル
  • 北海道の荒野を背景に、男子高校生たちの姿を見つめた長編処女作

    やくたたず(2010)TV初/未ソフト化

    監督・脚本・撮影・編集:三宅唱
    出演:柴田貴哉、玉井英棋、山段智昭、櫛野剛一

    一面雪に覆われた北海道を舞台に、3人の男子高校生の一瞬一瞬をザラついたモノクロームで捉えた青春群像。高校卒業を間近に控えた男子高生3人は、地元の先輩が勤める防犯警備会社に通い始める。無為に過ごす時間を抜け出し、なんとか仕事の役に立とうと車の運転を教えてもらうのだが…。
    村上淳が本作に惚れ込んだことにより「Playback」が生まれた、という逸話のある1本。

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濱口竜介 RYUSUKE HAMAGUCHI

1978年、神奈川県生まれ。
2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。
その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』(2010)がフィルメックスに出品、東日本大震災の被災者へのインタビューから成る『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(2011~2013、共同監督:酒井耕)、4時間を超える長編『親密さ』(2012)を監督する等、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続ける。
そして2015年、市民参加による「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生し、主人公4人の女性たちをはじめ、ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめた5時間超えの大作『ハッピーアワー』を発表。海外で複数の映画賞に輝くほか、キネマ旬報日本映画ベスト・テンで第3位に入る快挙を達成した。

濱口竜介監督作品

  • 作品タイトル
  • 公開から約一年経った現在でも全国の劇場で上映され続ける、恐るべき傑作。

    ハッピーアワー
    (2015)TV初/未ソフト化

    監督:濱口竜介
    脚本:はたのこうぼう(濱口竜介、野原位、高橋知由)
    出演:田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら

    ワークショップで見出された、演技経験のない4人の女性たちが2015年のロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞し、世界的にも大きな話題となった一作。濱口竜介監督の5時間を超える超大作。30代後半のどこにでもいる普通の女性たち4人が、それぞれの家庭や仕事、人間関係の中で不安や悩みを抱えつつ生きていく様を、緊張感あふれるドラマとして見事に表現している。ロカルノでは脚本スペシャル・メンションも受賞。ほかにフランスのナント三大陸映画祭「銀の気球賞」(準グランプリ)と観客賞を受賞した。バツイチの看護師あかり(田中)、中学生の母の桜子(菊池)、仕事も夫婦関係も順調そうな芙美(三原)、夫と二人暮らしの純(川村)は、境遇は違えど固い友情を育んでいたが、ある秘密が各々に波紋を投げかける。

  • 作品タイトル
  • 実際の舞台の上演を記録した4時間超えの渾身の一作。

    親密さ(2012)TV初/未ソフト化

    監督・脚本:濱口竜介
    出演:平野鈴、佐藤亮、伊藤綾子、田山幹雄、手塚加奈子

    『親密さ』という舞台の本番までを追う前半と、実際の公演の後半の二部構成で、虚実を交錯させ映す。映画の枠組みに揺さぶりをかける濱口竜介が監督する映画パートと、彼の講義を受けた生徒の手による演劇パートが独立しつつ呼応し、様々な思索へと導いていく。『親密さ』の上演を間近に控える令子(平野)は、同棲する恋人でもある良平(佐藤)と演出を手掛けていたが、稽古場や私生活で数々のハプニングに見舞われる中で、二人の関係にも変化が生じていく。

  • 作品タイトル
  • 結婚を間近に控えた一組のカップル。仲間を祝うパーティーの席上で、期せずして男の過去の浮気が発覚する―。

    PASSION(2008)TV初

    監督・脚本:濱口竜介
    出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦

    本音と建前が入り混じる膨大な量の台詞、独特のリズムを生むカッティングなど、その後の濱口監督を特徴づける稀有な才能が早くも炸裂した1本。30歳を目前にした大学時代の同級生数人が久々に集まる。あるカップルはその席上で結婚を発表するが、期せずして男の過去の浮気が発覚。浮気相手はその場にいた別の男とも関係を持っていたことがわかり…。人生の転機を迎えた6人の男女の人間関係の深みをあぶりだす。濱口竜介の名を世界に知らしめた記念碑的作品。

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深田晃司 KOJI FUKADA

1980年、東京都生まれ。
大学在学中の1999年に映画美学校フィクションコース入学。長・短編3本を自主制作した後、2005年に平田オリザが主宰する劇団「青年団」に演出部として入団。2006年、『ざくろ屋敷』を発表し、パリ第3回KINOTAYO映画祭ソレイユドール新人賞を受賞。
2008年、『東京人間喜劇』を発表、ローマ国際映画祭、パリシネマ国際映画祭他に選出。
2010年、『歓待』が東京国際映画祭日本映画「ある視点」作品賞、プチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞。2013年、『ほとりの朔子』でナント三大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞をダブル受賞。2015年、『さようなら』が東京国際映画祭メインコンペティション選出。2016年、マドリード国際映画祭にてディアス・デ・シネ最優秀作品賞を受賞。そして長編5作目となる最新作『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞する快挙を成し遂げた。

深田晃司監督作品

  • 作品タイトル
  • 平田オリザの同名戯曲を映画化、本物のアンドロイドが出演することで話題となった異色作

    さようなら<R-15>(2015)TV初

    監督・脚本:深田晃司
    原作:平田オリザ
    アンドロイドアドバイザー:石黒浩
    出演:ブライアリー・ロング、新井浩文、ジェミノイドF、村田牧子、村上虹郎

    “マツコロイド”などでもおなじみの、ロボット研究で知られる大阪大学の石黒浩教授が製作したアンドロイドが演者として出演し話題となった一作。主演は舞台版と同じくアンドロイドの“ジェミノイドF”と、「歓待」のブライアリー・ロング。放射能に侵された近未来の日本を舞台に、海外への移住を余儀なくされる国民とアンドロイドを通し、死と生を浮かび上がらせる。

  • 作品タイトル
  • 東京国際映画祭日本映画「ある視点」部門で作品賞を受賞した話題作のディレクターズカット版

    歓待1.1(2013)TV初

    監督・脚本・編集:深田晃司
    出演:山内健司、杉野希妃、古舘寛治、ブライアリー・ロング

    東京国際映画祭日本映画「ある視点」部門作品賞ほか数々の映画賞で評価され、深田晃司監督が一躍注目を集めた「歓待」のディレクターズカット版。本作のプロデューサーも兼ねる若き国際派女優・杉野希妃と、平田オリザ率いる青年団の演技派俳優たちによるブラックなユーモア漂う風刺劇。とある家族が、突然の異端者の出現によってそれまでの平和な日常をかき乱されていくさまを描く。東京の下町で印刷所を経営する幹夫(山内)は、若い後妻の夏希(杉野)や前妻の娘らと、つましくも平穏に暮らしていたが、以前世話になった資産家の息子を名乗る風変わりな男を家に上げた日から、幸福に陰りが見え始める。 ※本作は英語字幕付きでの放送となります。

  • 作品タイトル
  • 地域映画の枠に止まらない不思議な世界観と物語性が見事な小品

    いなべ(2013)TV初

    監督・脚本:深田晃司
    出演:松田洋昌(ハイキングウォーキング)、倉田あみ、伊藤優衣、鈴木Q太郎(ハイキングウォーキング)

    深田晃司が2013年の第5回沖縄国際映画祭の「地域発信型プロジェクト」で上映される「地域発信型映画」の1作品として、三重県いなべ市の人々とともに作り上げた短編作品。主演はお笑いコンビ「ハイキングウォーキング」の松田洋昌と元宝塚の女優・倉田あみ。養豚場で働く智広(松田)のもとに、姉の直子(倉田)が赤ちゃんを連れて17年ぶりに帰ってくる。理由をたずねても素っ気ないだけの直子だったが、ある日突然、子どもの頃に2人で埋めた「何か」を掘り起こしに行こうと言いだす。

  • 作品タイトル
  • 平田オリザ待望の新作として2016年に上演された舞台を、深田晃司監督がディレクションした舞台収録作品

    舞台 ニッポン・サポート・センター
    (2016)TV初

    青年団第75回公演 会場:吉祥寺シアター
    作・演出:平田オリザ 映像監督:深田晃司
    出演:山内健司、松田弘子、志賀廣太郎、永井秀樹ほか

    生活困窮者やドメスティック・バイオレンスの被害者などの一時避難を扱う駆け込み寺型NPOのオフィス。NPO幹部職員の不祥事を抱えて、全員の善意が空回りし、喜悲劇が繰り返される。
    ボランティア団体の日常を精緻に描きながら、現代社会の実情に鋭く切り込み、一方で「人を助ける」とはどういうことかという普遍的命題に正面から取り組む問題作。
    “本作を色々な席で5回は観劇したぐらいの発見を1回で味わえるような編集を心掛けた”という深田晃司監督がディレクションした舞台収録作品である。

公開4周年記念2週間限定レイトショー Playback 2017年3月11日(土)〜24日(金)ユーロスペース渋谷

「ハッピーアワー」© 2015 KWCP、「親密さ」©ENBUゼミナール、「PASSION」©東京藝術大学大学院映像研究科、「さようなら」‹R-15›© 2015 「さようなら」製作委員会、「歓待1.1」© 2010 hospitalité film partners、「いなべ」©「いなべ」制作委員会、「ニッポン・サポート・センター」©T.Aoki、「Playback」©2012 Decade, Pigdom、「やくたたず」©MIYAKE Sho