演劇ファンのみならず、俳優や同業者にも多くのファンを持つ
作家・演出家 岩井秀人の舞台作品の数々が、
日本映画専門チャンネルで一挙放送。
岩井秀人の大ファンも、
岩井秀人を最近観られていない人も、岩井秀人を初めて観る人も、
代表作を観ることのできるまたとないチャンスです。
この機会に、ぜひお楽しみください!
What's岩井秀人(いわい ひでと)
1974年6月25日、小金井市生まれの作家・演出家・俳優。
16歳から20歳までを引きこもりとして過ごす。
2003年、劇団ハイバイを結成。劇団名の由来は「ハイハイ(誕生)からバイバイ(死)まで」。作品は英・韓・仏・米でも翻訳・上演された。
自意識まみれの困った人々を愛しく見つめて笑ううちに、いつしか不思議な哀歓に襲われる、そんな作風が多くのファンに支持されている。
2012年NHKBSプレミアムドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年「ある女」で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。
1974年 | 武蔵小金井出身。 |
2003年 | ハイバイを結成。2007 年より青年団演出部に所属。 |
2012年 | NHKBSドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞受賞 |
2013年 | 『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞を受賞 |
2014年 | 自身初の小説 『ヒッキー・カンクーントルネード』を上梓 |
2015年 | 10都市 『ヒッキー・カンクーントルネード』ツアー |
2018年3月 | 『ヒッキー・ソトニデテミターノ』をパリ日本文化会館にて上演 |
2018年11月 | 「WAREWARE NO MOROMORO」を(仏)ジュヌビリエ国立演劇センター構成・演出 |
2019年2月 | 東京・東京芸術劇場 プレイハウスオリジナル新作「世界は一人」作・演出 |
「ヒッキー・カンクーントルネード」
(2010年・舞台)作・演出:岩井秀人
出演者:岩井秀人(ハイバイ)、成田亜佑美、坂口辰平(ハイバイ)、平原テツ(ハイバイ)、チャン・リーメイ(Love&Light)
なぜ、人は「外」に出た方が良いのか。
岩井秀人の処女作(2003年ハイバイ旗揚げ作品)にして、笑えるのに泣ける快作。岩井自身がひきこもりの登美男(とみお)を演じる貴重な2010年再演版を放送。
「ヒッキー・ソトニデテミターノ」
(2018年・舞台)作・演出:岩井秀人
出演者:岩井秀人、平原テツ、田村健太郎、チャン・リーメイ、能島瑞穂、高橋周平、藤谷理子、猪股俊明/古舘寛治
『ヒッキー・カンクーントルネード』の続編。ひきこもりだった登美男が、なぜか“出張お姉さん“のアシスタントで社会と交わる。なぜだ、登美男。
「て」
(2018年・舞台)作・演出:岩井秀人
出演者:浅野和之、平原テツ、田村健太郎、安藤聖、岩瀬亮、長友郁真、今井隆文、能島瑞穂、湯川ひな、佐野剛、松尾英太郎、猪股俊明
岩井の家族をモデルにした自伝的作品。というかほぼ自伝。祖母の認知症をきっかけに再集合した家族が、過去の関係を清算しきれず、大爆発する様子をハイバイらしい「ちょっとウンチついたくらいの『人間くささ』」で描ききったスーパー家族劇。再演を何度観に行っても同じシーンで涙ぐんでしまう、この完成度と中毒性。
「夫婦」
(2018年・舞台)作・演出:岩井秀人
出演者:山内圭哉、菅原永二、川上友里、遊屋慎太郎、瀬戸さおり、渡邊雅廣、八木光太郎、岩井秀人
岩井の父の死を扱った自伝的作品。というかほぼ自伝。岩井の作劇のモチーフともなり続けた「憎むべき対象」である父が癌で死に、混乱する岩井を描く。許さなくていい自由。観終わった後、自分の父と子、夫婦、家族について、聞かれてないのに語り出してしまう。の声多数。
「世界は一人」(パルコ・プロデュース)
(2019年・舞台)作・演出:岩井秀人 音楽:前野健太
出演:松尾スズキ×松たか子×瑛太
幼馴染3人の人生のねじれと交わりを、<前野健太と世界は一人>が奏でるオリジナル楽曲にのせて描く、岩井秀人初の音楽劇。
「おとこたち」
(2016年・舞台)作・演出:岩井秀人
出演者:安藤聖、菅原永二、永井若葉、平原テツ、用松亮、松井周
男4名の24歳〜82歳までの人生を描く。何の特殊メイクもなしで。CGもなしで。 そんな馬鹿な。でも観終わると「おとこたち」それぞれの人生の手触りがしっかり残る、笑いとほろ苦さで構成された、ハイバイらしい手作り群像劇。
「投げられやすい石」
(2011年・舞台)作・演出:岩井秀人
出演者:松井周、内田慈、平原テツ、岩井秀人
才能を持つ者。持たなかった者。失った者。の間を、愛と打算がビュンビュン飛び交う、青春ラヴストーリー。4人の曲者俳優がアゴラを満たす、小劇場的幸福密度をそのまま収録。
What'sハイバイ
2003年に主宰の岩井秀人を中心に結成。
東京であり東京でない小金井の持つ「大衆の流行やムーブメントを憧れつつ引いて眺める目線」を武器に、家族、引きこもり、集団と個人、個人の自意識の渦、等々についての描写を続けている、評価・動員ともに現代演劇屈指の人気劇団。岩井の紡ぐ世界を、永井若葉・平原テツ・川面千晶・鄭亜美・長友郁真といった個性派の役者たちが舞台上で呼吸する、密度が高くでもどこか可笑しい劇世界が特徴。
「なむはむだはむLIVE!」
(2021年 音楽ライブ ※編集版)出演:岩井秀人、森山未來、前野健太、種石幸也
ワークショップなどを通して、こどもたちが描く世界を基に楽曲を創ってきた岩井秀人、森山未來、前野健太の3人によるユニット「なむはむだはむ」による初の音楽ライブ「なむはむだはむLIVE!」をTV初放送。2017年から足掛け4年、子どものアイデアを基に創りだしたオリジナル楽曲の数々を、生演奏で披露した前代未聞の音楽ライブ。岩井秀人が叫んだ最後に「好きなことやって生きていってください!」を体現しきった、オトナによる本気のアソビの空間がここに。 (2021年7月10日・会場:渋谷WWW)
「なむはむ!ドキュメント ~俺としらすと江ノ電と~」
(2021年)出演:岩井秀人/森山未來/前野健太、種石幸也 ほか
作家・演出家・俳優の岩井秀人、俳優・ダンサーの森山未來、シンガーソングライター・俳優の前野健太の3名によるプロジェクト「なむはむだはむ」。「子供たちのアイディアを大人たちがなんとか作品にする」というコンセプトで2017年から活動してきた彼らの、再始動に密着したドキュメンタリー。 2020年、湘南・鎌倉に久しぶりに集まった岩井・森山・前野の3人。子どもたちとのワークショップから、子どもが書いたテキストを楽曲にして披露するまでの、3人の創作の過程が描かれる。
「なむはむ!ドキュメント ~俺と松戸といぬのゆめ~」
(2021年)出演:岩井秀人/森山未來/前野健太、種石幸也 ほか
作家・演出家・俳優の岩井秀人、俳優・ダンサーの森山未來、シンガーソングライター・俳優の前野健太の3名によるプロジェクト「なむはむだはむ」。「子供たちのアイディアを大人たちがなんとか作品にする」というコンセプトで2017年から活動してきた彼らの、再始動に密着したドキュメンタリー第2弾。 2021年4月、千葉県松戸に集結した3人は、子どもたちとのワークショップから新たな楽曲を制作し披露するという、約1週間の合宿に取り組む。
「なむはむだはむ」
(2017年・舞台)(つくってでるひと)岩井秀人、森山未來、前野健太
予測不能な子どもの閃きを元に、岩井秀人・森山未來・前野健太をはじめとする大人達が、右往左往しながら演劇作品に仕上げる「コドモ発射プロジェクト」。野田秀樹の「子どもの書いた台本をよってたかって演劇にすることはできないだろうか?」というアイディアから出発、「ことば好き」の岩井、「からだ好き」の森山、「うた好き」の前野が集まった。大人が描こうとしても描けない、子どもが思い描く「世界」を立ち上げ、結果的に20数本のレパートリーの中から毎日選んで作品を上演するライブ形式をとった。タイトルの「なむはむだはむ」は、ワークショップ中に子ども達が生み出した、死者を弔うための言葉。<収録:2017年2月 東京芸術劇場 シアターウエスト>
「コドモのひらめき オトナの冒険 ~"なむはむだはむ"の世界~」
(2017年・ドキュメンタリー)出演:岩井秀人/森山未來/前野健太 ほか
コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」の2週間に及ぶ稽古の様子に密着した番組。「こどもが書いた台本をプロがよってたかって演劇にすることはできないだろうか?」という、東京芸術劇場芸術監督・野田秀樹の発案をもとに、ハイバイの岩井秀人と森山未來、シンガーソングライターの前野健太が実践しているコドモ発射プロジェクト。初日を前に滞在制作を行った兵庫・城崎国際アートセンターの現場に密着。
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「ヒッキー・カンクーントルネード」©曳野若菜、「ヒッキー・ソトニデテミターノ」©Jean Couturier/©有田昌史/©引地信彦、
「て」©引地信彦、「夫婦」©引地信彦、「世界は一人」©パルコ、「おとこたち」©引地信彦、「投げられやすい石」©曳野若菜、「なむはむだはむLIVE!」©日本映画放送/なむはむだはむ、
「なむはむ!ドキュメント ~俺としらすと江ノ電と~ 」©なむはむだはむ、「なむはむ!ドキュメント ~俺と松戸といぬのゆめ~ 」©なむはむだはむ、
「なむはむだはむ」©引地信彦、「コドモのひらめき オトナの冒険 ~なむはむだはむの世界~」©NHK
父と並んで撮った写真で、僕が笑っているものは1枚もない。
ずっとディスコミュニケーションのまま育ち、そしてディスコミュニケーションのまま父は死んでいった。通夜のとき、葬儀会社の人から「お父さまに最後のお手紙を書かれてみてはどうですか」と提案があった。「最後だからちゃんと本心を書こう」と意を決して書いたら、自分でも引くくらい父をディスりまくる内容になってしまった。
で、棺に入れたその手紙と共に、父は灰になった。
そんな僕がハイバイ「て」を見たとき、「これは自分の話だ」と思った。
「夫婦」を見たときは、いっそうその思いを強くした。
別に同じエピソードを経験したわけじゃないのだ。ゴルフクラブで殴られたことないし。
でもたしかに「自分の話だ」と思った。
そう感じた人は、ほかにもたくさんいたらしい。
岩井さんにこの舞台の感想を語る人は、舞台そのものの感想そっちのけで、「私の家庭はこうだったんです!」と話す人が多いのだという。わかる。
「それって、“豊かさ”だと思うんです」
岩井さんはそう言った。豊かさ?
目の前の舞台が、記憶の扉をひらく。観客の目は舞台を見ているけれど、脳内では自分の過去と向き合っていたりする。ふと我にかえってまた舞台を見る。と思ったらまた脳内で……それが岩井さんのいう“豊かさ”だ。
ハイバイの舞台を、岩井秀人の書く作品を好きになる人は、きっとその“豊かさ”を経験しているのだろう。
ぶっちゃけ、そういうのナシで生きられる人もいるんだと思う。それで幸せに生きられるならそれでいい。でも世の中にはまだまだ、これらの作品を見ることで“豊かさ”を経験したり、ちょっと大げさに言えば救われたりする人もいるはずだ。だから「ハイバイって何?」「岩井秀人って誰だよ?」という人に、もっともっと見てほしい。
今回の2ヶ月連続「特集 岩井秀人」では、その「て」「夫婦」が放送される。
ラストで感動とはあきらかに違う号泣をしてしまった「おとこたち」も。
舞台を見た友人から「どうしても、どうしても感想を語りたくて!」と10年ぶりに連絡があった「世界は一人」も。
コロナ禍まっただ中、個人的にかなりふさぎこんでいた時期に見て、あまりの自由さに爆笑して心がときほぐされた「なむはむだはむLIVE!」も。
“豊かさ”への扉がこんなに用意されて、もっとも安くて2ヶ月770円。
あんまりコスパコスパいうの嫌いなんだけど、あえて言います。
絶対損はさせない。