第40回ぴあフィルムフェスティバル
チャンネル特派員レポート

2018年9月8日~22日国立映画アーカイブで開催された第40回ぴあフィルムフェスティバル。チャンネルでは初の試みとして、「映画祭特派員」を募集。
多くの応募の中から選ばれた、2人の特派員にPFF上映に参加頂き、その体験をレポートしていただきました。

集合写真

PFF特派員レポート

特派員NO.1  下村えりかさん

「映画の力」

今回のPFFに参加して何よりも強く感じたのは、「映画の力」だ。

私は現在大学二年生の19歳で、いわゆる”デジタルネイティブ世代"である。小さい頃からインターネットの動画を見て育ち、今ではYouTuberが日々アップする映像を見て、暇つぶしをするということも少なくない。

日々充実するネットサービスのお陰で、現代に生きる私たちは溢れんばかりの数の映画を、簡単に見ることができるようになった。しかしその代償と言っていいのか、低予算で簡単に作る事のできる商業的映画の数が増えてきたように思える。そのため、私は最近、"少し前のように、監督がこだわり抜いて、魂を込めた映画を作るという時代は、今後おわっていってしまうのだろう"、と漠然と考えていた。

しかし、それは大きな間違いだった。

PFF映画祭では、私と同世代の監督が、こだわり抜いて、考え抜いて、"自分の映画"を撮っていた。著名な監督陣を含む大人たちが、若者たちの撮った映画を見て、熱く語り合い、涙を流していた。半世紀以上前に作られたアルドリッチ監督の作品を見て、多くの人が共感し、胸を震わせていた。

40周年を迎えたPFF映画祭。そこで、まだまだ人を魅力し続ける「映画の力」の存在に気付かされた。

以下、今回の映画祭の中でも、特に印象に残った2つの映画について述べていこうと思う。

①『19歳』 監督:道本咲希
私がドンピシャで19歳だったこともあり、映画の中にいる主人公と自分の姿が幾度となく重なった。なんとなく就職活動をして、年齢だけが“大人”になっていく、誰もが経験のあるであろう「19歳」ならではのうまく言葉に表せない焦燥感や時間の使い方などがうまく表現されていた。監督が主演女優として演技をしていたのだが、この年だからこそ醸し出すことのできる雰囲気があり、見ている人に静かに印象を残していく作品であった。

②『ある日本の絵描き少年』 監督:川尻将由
「最近youtubeばかりを見て育っている子供たちに危機感を覚えていて。。。」授賞式での川尻監督の発言には非常に説得力があった。それほど彼の作品は、現代の映像作品では珍しいほどに手が込んでいたのだ。絵を描くことの大好きな少年の幼少期から大人になるまでの作風や感情の変化が、これまた絵を用いて巧妙に表現されている。この作品の凄い所は映像技術もさることながら、そのストーリーにある。次々と展開していく絵に夢中になっているうちに、人生の歩み方を問われるようなシーンに直面する。人生をどのように楽しむのか、どう生きるのかを改めて見つめ直したい大人、そして簡単な動画ばかりを見て過ごしている若者たちに是非見て欲しい作品だ。

他にも紹介出来ていない作品が沢山ある。しかしPFF映画祭の作品に共通しているのは、1つ1つの作品に監督のフィロソフィーが詰まっているということだ。

皆さんも是非彼らの作品を見ることで、「映画の力」を感じて欲しい。

プロフィール
下村えりか
1999年1月2日生まれ。現在法学部に通う現役の大学生。

特派員NO.2  ねじがなめた さん

映画好きのみなさん初めまして!
ねじがなめたと申します。変な名前ですみません。
普段はマンガを描くなどしています。
この度はPFFの特派員に選んでいただけたということで、イラストのようなものとちょっと拙い文で映画祭をレポートをしていきたいと思います。

PFFの存在は以前から知ってましたが、参加は初めてでした。
PFFといえば自主制作映画のイメージが強かったのですが、
最近は巨匠の名作を特集上映したり、映画監督を目指す人のための企画もあり、衝撃的な内容の濃さと充実っぷりでした…!

私が鑑賞したのは以下のプログラムです。
・PFFアワード2018
・PFFスペシャル講座「映画のコツ」
・女も男もカッコいい!今こそアルドリッチ
・追悼 たむらまさきを語り尽くす

まずは自主制作映画の祭典・PFFアワード2018からレポート!

11作品ほど観たのですが、中でも印象深い作品を描いてみました。
普段あまり自主制作の作品を目にする機会が無いのですが、どの作品もフリーダムで、映画への愛が迸っていて面白かったです!!
これを機に各地で行われている自主制作の映画祭に足を運んでみようと思いました。

レポートイラスト1
レポートイラスト2

次にPFFスペシャル講座「映画のコツ」。
映画監督を志す方のために多角的に映画を紹介する企画です。
その中でも「本当にみたいテレビ番組制作術(たけし誕生)」と「香川まさひとの世界」を観たのですが、今回は後者の方をイラストに起こしてみました、が!!!
あまりにも支離滅裂ですみません……

いや、実際、香川監督の作品があまりにもエネルギッシュでパワフルで破茶滅茶すぎて、真面目にイラストに起こそうとするとこう……空中分解するしかなかったのです…

・青春
・バスクリンナイト
・市役所はどこですか
・下らない人生
・セグウェイ

上記の5本を観ましたが、どれも劇場全体がポカン…としてるのを肌で感じるくらいの意外な展開とくすぐられるような笑いがあり、面白かったです!

ソフト化は難しいかもとのことでしたので、またどこかで上映されるように都内のオシャレミニシアター方面に念を飛ばします。

さて次は「女も男もカッコいい!今こそアルドリッチ」。みなさんアルドリッチという監督をご存知でしたか?!私は全然知りませんでした……
おそらくイケイケのシネフィルの方はご存知だったかと思うのですが……
しかし!今回紹介する作品は、約50年の時を超えて映画をあまり観ない層にも刺さるのでは?!と思います

レポートイラスト3

またもや分かりづらいイラストで恐縮ですが、今回観た2本はどちらも強烈でした………!
「キッスで殺せ」の方は、今全国ロードショーをやったらツイッター上で「ヤバイものを観てしまった…」とバズりそうな作品です。
トークショーに登壇した黒沢清監督も、この作品についてはヤベエ…ヤベエ…という戸惑いを見せておられました。
ストーリーの説明ゼロで申し訳ないのですが、気になる方は観て「ヤベエ…」を体感して下さい。
「何がジェーンに~」の方は、とにかく百合が好きな方に観ていただきたい!
サスペンスというより、姉妹のドロドロした関係性に萌えたり悶えたり泣いたりする作品だと思うので…
このレポート絵を見てピン!と来た方は次に上映機会があったら劇場に駆け込んでください。

最後は「追悼 たむらまさきを語り尽くす」のプログラムで上映された、「さらば愛しき大地」のレポートです。

レポートイラスト4

他のレポート絵と違い、情報量が少なめですみません。
こちらの作品、胸が締め付けられ知らぬ間に涙してしまう大傑作なのですが、文と絵で魅力を伝えるのが非常に難しく……
とにかく、どん底へと超スピードで転落していく根津甚八の演技(と絶妙な腹筋)が最高なので多くの方に観ていただきたいです。
たむらまさきさんが独断で撮ったという茨城の山や木々の映像が物語を盛り上げていて、心に刺さります。

今回、ダメ元で特派員に応募したのですが、まさか選ばれるとは……!とレポートを9割がた書き終えながら未だに驚愕しております。

素晴らしい映画との出会いの場をいただけて本当に嬉しかったです。
来年以降も企画がありましたら巷の映画好きのみなさん是非応募を!(そしてたとえ当選しなくても)PFFに行ってみよう!!私も行きます!

プロフィール
ねじがなめた
マンガを描いたりしています。
現在角川にて映画監督を志す若者のマンガを描いてます!
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CB01200469010000_68/
twitter→@nezinameta