第31回東京国際映画祭
「人魚の眠る家」東京国際映画祭ワールドプレミア舞台挨拶
イベントレポート

授賞式 イベントレポート

集合写真

第31回東京国際映画祭の新設部門「GALAスクリーニング」作品に選出された「人魚の眠る家」のワールドプレミアが10月29日(月)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、山口紗弥加、田中泯、堤幸彦監督が舞台挨拶に登壇。篠原が「自信を持ってお届けできる作品」と完成作への確かな手応えを語った。

東野圭吾作家デビュー30周年を記念して書かれたベストセラー小説を堤幸彦監督が映画化した本作。愛する娘がプールで溺れ、意識不明に陥ったことから、究極の選択に迫られる夫婦の苦悩を描く。同映画祭の久松猛朗フェスティバル・ディレクターが「観客、世界に注目してほしい作品」と願ったことから、新設部門の「GALAスクリーニング」として今回の上映が実現した。

篠原

過酷な運命に翻弄される母親・薫子役を演じた篠原は、胸元の大胆に開いた黒のドレス姿で登場。「自信を持ってお届けできる。この作品を観て、涙が止まらなくなって嗚咽してしまった。衝撃的で、こういう作品を観たのは初めて」と完成作を観て号泣したといい、撮影中には「次の日の予習をしようと思って台本を開いても、感情移入して涙が出てしまって。あまり泣いてしまうと、翌日に目が腫れてしまうので抑えようとしたりして」と台本を読みながらも、涙があふれて困るほどだったという。

西島

夫の和昌役を演じた西島とは、3度目の共演となる篠原。「深みが増して、ますますダンディになって色気ムンムン」と西島の色気倍増について触れるひと幕もあり、会場も大爆笑。篠原によると「お互いにプライベートで家族を持ってからは、初めての共演」だそうで、「母親であり、父親であるということもあって、内容が実生活と重なるので、いろいろな話をしました。考えさせられるところがありましたよね」と西島に語りかける。
西島は「篠原さんがご結婚されて、お子さんが生まれて。実人生で積み重ねてきた重み、演技の深さをすごく感じました。実人生ごと役に向かっていた」と篠原の熱演を絶賛。
篠原は照れ笑いを見せながら、「西島さんはよく笑う。甘いものも好き」と西島の素顔を暴露していた。

坂口

恋人役を演じたのが、坂口と川栄。坂口は「僕が演じた星野という役は、純粋でピュア」と役柄を分析。意識不明となった女の子・瑞穂の治療ために「盲目的になっていってしまう役」と語り、「星野は、僕から見ても『力を抜いて』と肩に手を置いてあげたくなるような人。星野なりの正義を見せたかった」とまっすぐな青年を演じる上で苦労もあったという。

川栄

星野を心配する恋人を演じた川栄は「星野さんが没頭していくのを心配している。
監督からは“菩薩のような優しさを持った人間”と言われました」と包容力を表現したという。また坂口については「ちょっとお茶目」と印象を語った川栄。「第一印象ではクールなのかなと思ったんですが、話してみるとすごく話しやすかったです」とニッコリ。坂口は「僕はクールですよ」と言い放つなど、さっそくお茶目な一面を披露していた。

薫子の妹役の山口は「薫子さんを日常に引き戻したいと思っていた。薫子さんの太陽にはなれなくても、裸電球くらいの暖かさで包み込めたらと。とにかく明るく、明るくと努めていました」と姉を心配する妹を熱演。和昌の父役の田中は、演じた役柄には「戻せない時間に対する“悔しさ”というのがあったと思う」と話し、撮影が終わってからも「答えのない質問をしているような気がする」と自身にとっても影響を与えてくれる作品になったという。

実力派の俳優たちが、本作の持つ並々ならぬ“力”をそれぞれに語ったこの日。堤監督は「ほぼ順撮りをさせていただいた。大変贅沢なやり方。そのことによって、丁寧に感情を作れた」と台本の順を追って撮影をする“順撮り”が実現できたことを明かして、周囲に感謝。「たくさんの作品を撮ってきましたが、自信を持ってお届けできる作品」と胸を張り、「原作を読んで、(このストーリーは)『人ごとではないな』というところから始まった。結論はひとつではありません。観た方によって印象が変わってくるでしょうし、いろいろな考えをお持ちになると思う。それぞれの立場でご覧になってください」とアピールしていた。

「人魚の眠る家」は全国公開中

文:成田おり枝

日本映画専門チャンネルでは11月に「人魚の眠る家」公開記念特集を放送東野圭吾の小説を映画化した「秘密」(1999)、「手紙」(2006)、「白夜行」(2011)「プラチナデータ」(2013)「天空の蜂」(2015)の5作品を放送!
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