昭和100年<7月> 追悼 監督・篠田正浩

7月は数々の名作を世に放った巨匠・篠田正浩監督を追悼し、初期の代表作3作品を一挙放送。
篠田監督の名声を決定的なものとした、世界的な評価も高い名作『乾いた花』をチャンネル初放送するほか、
生と死の狭間に置かれた男女の狂おしいまでの情念を描きキネマ旬報ベスト・テン1位ほか数々の映画賞に輝いた『心中天網島』、
三味線の門付けで生きる放浪の旅芸人おりんの道行きを宮川一夫の圧巻の映像美で描いた『はなれ瞽女おりん』。
日本映画史に残る名作を是非映画体験してほしい。

7月10日(木)から毎週木曜よる7時30分

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心中天網島
放送日:7月17日、7月23日
1969年・モノクロ    原作:近松門左衛門   監督:篠田正浩   脚本:(脚色)富岡多恵子/武満徹/篠田正浩  
出演:岩下志麻/中村吉右衛門/小松方正/滝田裕介/藤原釜足/加藤嘉/左時枝/浜村純  

紙屋治兵衛(中村吉右衛門)は、妻・おさん(岩下志麻)と2人の子供がありながら遊郭に通いつめ、遊女・小春(岩下志麻・二役)と深い仲になる。彼女に身請けを迫っていた成金の太兵衛(小松方正)に先んじて小春を身請けした治兵衛だったが、身請金を工面した妻に去られ財産も底をつき、残された道は心中しかなかった…。近松門左衛門の浄瑠璃を、画面に黒子を登場させるなどの実験的な手法と既に少なかったモノクロ映像で映画化。

心中天網島(C)2005表現社
はなれ瞽女おりん
放送日:7月24日
1977年・カラー    原作:水上勉   監督:篠田正浩   脚本:長谷部慶次/篠田正浩  
出演:岩下志麻/原田芳雄/奈良岡朋子/浜村純/樹木希林/安部徹/小林薫/西田敏行  

北陸の美しい四季を背景に、三味線や歌で各地をめぐって生計を立てる盲目の"瞽女"の姿を描くドラマ。厳しい生活態度を強いられる瞽女の1人・おりん(岩下志麻)はある男と関係をもったことから、'はなれ瞽女'に。ある夕暮れ、おりんは1人の大男(原田芳雄)と出逢い、奇妙な二人旅が始まる…。主演の岩下が'77年度日本アカデミー賞、同年度ブルーリボン賞で主演女優賞を受賞。撮影の宮川一夫が同年度日本アカデミー賞技術賞受賞。

はなれ瞽女おりん(C)2005表現社
乾いた花<PG-12>
放送日:7月10日、7月18日
1964年・モノクロ    原作:石原慎太郎   監督:篠田正浩   脚本:馬場当/篠田正浩  
出演:池部良/藤木孝/東野英治郎/加賀まりこ/三上真一郎/宮口精二  

石原慎太郎の小説を、松竹ヌーヴェルヴァーグを牽引した篠田正浩監督が映画化。様々な事情で公開延期の憂き目に遭うも、虚無的な男女の顛末を独特の映像美で描き、篠田監督の評価を一層高めた代表作。やくざを殺し3年ぶりに出所した村木(池部良)は、賭博中に場違いな少女・冴子(加賀まりこ)に気を留める。スポーツカーを乗り回す破天荒な彼女と賭場を巡るうちに、破滅願望など自分と似たものを感じた村木は、愛憎混じる複雑な感情を募らせる。

乾いた花<PG-12>(C)1964松竹株式会社