今年11月20日で生誕110年を迎える、日本映画史に燦然と輝く巨星・市川崑。フィルモグラフィーの中から代表的な3作品を特集放送。
芸術性と娯楽性を両立させた名作を数多く世に送り出し、戦前から長きにわたって第一線で活躍しづけた巨匠の代表作をいま一度ご堪能ください。
11月6日(木)から20日(木)まで毎週木曜よる放送
出演:京マチ子/仲代達矢/中村鴈治郎/叶順子/北林谷栄/菅井一郎
発表当時、その大胆な性の取り扱いゆえに国会で論議されるほどのスキャンダラスな話題を呼んだ谷崎潤一郎のベストセラー小説を、もっとも脂の乗っていた時期の市川崑監督が映画化した作品。初老の古美術鑑定家(中村鴈治郎)とその妻(京マチ子)、さらには娘(叶順子)の恋人の医師(仲代達矢)を交えた4人の奇妙な関係と異常な性愛を官能的に描く。カラーの発色を極力抑えた宮川一夫の撮影も秀逸。カンヌ映画祭審査員特別賞、キネマ旬報脚本賞ほか受賞。
出演:石坂浩二/岸惠子/若山富三郎/加藤武/草笛光子/渡辺美佐子/白石加代子/仁科明子/北公次/永島暎子/高橋洋子
「犬神家の一族」に次ぐ、市川崑×石坂浩二「金田一耕助シリーズ」第2弾。文明社会から隔離された鬼首(おにこべ)村。そこでは由良家と仁礼家の二大勢力が対立していた。ここに人気歌手・大空ゆかりこと別所千恵(仁科明子)が帰省してから、村に古くから伝えられる手毬唄になぞらえた殺人事件が起こる。金田一耕助の捜査が進まぬうちに第2、第3の犠牲者が出て…。今回は犯人探しよりも、多分に情緒に訴えるストーリーと絵作りが強調されている。
出演:佐久間良子/岸惠子/吉永小百合/古手川祐子/伊丹十三/石坂浩二/岸部一徳
滅びゆく名家の四姉妹の顛末を描く、谷崎潤一郎の小説の3度目の映画化。掴みどころのない三女役で、従来と一味違う色香を放つ吉永小百合をはじめ、幻想的な照明や豪華な衣装など、強力なスタッフのサポートを得た市川崑監督の、女優の魅力を存分に引き出す演出が堪能できる。昭和13年、大阪・船場の蒔岡家では、次女・幸子(佐久間)らが三女・雪子(吉永)の見合い話を次々と持ちかけるが、一向に要領を得ず、話がまとまらない。